ミツバチと共に90年――

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今昔物語に出てくる蜂

今昔物語といえば「今は昔……」ではじまるお話で構成された、平安時代末の説話集ですネ。

その中で、蜂が出てくるお話を拾ってみました。
タイトルは「鈴鹿山に於いて、蜂、盗人を刺し殺しし語」です。

『今は昔、京に水銀商(みづがねあきない)する者ありけり―――。

この商人はすごい大金持ちで、いつも100頭あまりの馬に荷物を負わせて伊勢に通っていました。
そうして年老いていきましたが、その間、盗賊に会うこともなかったので、ますます富み栄えておりました。

ところが伊勢の国には盗賊がおりました。
彼らは80人くらいで鈴鹿の山に住み、往来の人を襲っては物を奪って殺し、その蛮行には警察もほとほと困っておりました。

さてちょうどそのころ、水銀商人がいつものように100頭の馬に諸々の宝を負わして、鈴鹿山を通りかかったときです。この盗賊に出くわしたのです。

商人は慌てて高い丘の上に逃げましたが、財宝はすべて奪われてしまいました。

すると水銀商人は、突然、高い峰に立って大きな声で叫びました。
「遅いぞ、遅いぞ!」

すると半時ばかりして、9センチほどの大きな蜂がぶぶぶと飛んできて、傍の高い木の枝にとまりました。
それを見た商人は、いよいよ深く念じて、
「遅いぞ、遅いぞ!」
と言うと、やがて空に6メートルほどの赤い雲が現れました。

道行く人も「あれはなんだ?」と見てみれば、それは蜂の大群でした。
そして蜂の大群はそのまま盗賊のいる谷の方へ行ったかと思うと、盗賊たちを刺して皆殺しにしてしまったのです。

そうして蜂は去り、水銀商人は盗賊のいた谷におりました。
そこには、これまで彼らが貯えていた金銀財宝がありました。
商人はそれらをみな京に持ち帰り、ますますお金持ちになったということです。

実をいうとこの水銀商人、家に酒を造り置いていて、ほかのことに使わずに専ら蜂たちに呑ませて祭っていたのでした。
蜂たちはその恩を知っていたので、その商人を盗人から守ったのでした。

心ある人は恩を受けたら必ず報いるべきでしょう。
また、大きな蜂を見てもむやみに殺すものではありません。逆に恨まれてしまいますよ。

―――かくなむ語り伝へたるとや』

この水銀商人は蜂を自在に操ることができたんですね!
それにしても9センチもある赤い蜂とはスズメバチのことでしょうか?
考えただけで恐ろしい……。(笑)

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