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シャーロック・ホームズ、晩年のお仕事は養蜂業!?

シャーロック・ホームズといえば誰でも知っている世界の名探偵!
イギリスの作家コナン・ドイルが書いた推理小説の主人公ですが、もちろん架空の人物です。
小説自体は19世紀から20世紀にかけて書かれたものですが、今なお映画化などされ、その人気は圧倒的ですネ!

ロンドンのベーカー街221-B、ハドソン夫人のアパートに相棒のワトソン医師と一緒に住み、その天才的な観察力と推理力で様々な難事件を解決していきます。

そんなシャーロック・ホームズですが、彼は49歳で探偵業を引退し、その後は風光明媚なサセックスの丘で隠遁生活に入ります。
そして彼はその地で養蜂をしながら、ミツバチの研究にいそしんだらしい……。
と、そのことが書いてあるのが『最後の挨拶』という作品です。

この作品は短編小説で、1917年にイギリスの「ストランド・マガジン9月号」で、アメリカでは同年「コリアーズ・ウィークリー9月22日号」で発表されたそうです。

時は第一次世界大戦の開戦直前、世界を取り巻く不穏な空気の中で、各国のスパイ達が暗躍していた時代のようです。
登場するのはフォン・ボルクというドイツ人スパイ。彼はドイツのために働き、イギリスを陥れる工作をしています。

物語は彼がフォン・ヘルリンク伯爵と会い、なにやら国家存亡にかかわるヤバイ話をしている場面から始まります。
そこにアメリカ人スパイのアルタモントから電報が入ります。その内容は「入手したイギリス海軍の暗号簿を持って行く」と。
フォン・ボルクはその仕事のためにアルタモントに支払う500ポンドの報酬を用意していました。
※当時の1ポンドは現在の円換算で数万円に相当したらしいので、仮に2万としても500ポンドとは10,000,000円!!

さて、ヘルリンク伯爵が帰った後、暗号簿の入った包みを持って現れたアルタモント。
彼は仲間が次々と逮捕され、自分の身にも危険が迫っていること、そして今回の危険な仕事に対するフォン・ボルクの待遇に不満を語ります。
フォン・ボルクはアルタモントをなだめながらロッテルダム経由でアメリカに渡ることを勧め、500ポンドの小切手を支払うとともに、例の暗号簿の入った包みを受け取りました。

ところが包みを開いてビックリ!中に入っていたのは暗号簿ではなく、なんと「養蜂ハンドブック」……?(笑)
そしてフォン・ボルクが油断した隙に、突然アルタモントは彼の顔にクロロホルムを浸したスポンジを押し付けて気絶させてしまうのです。

なぜ?と思うでしょうが、このアメリカ人スパイのアルタモントなる人物とは、実はシャーロック・ホームズだったのです!
フォン・ボルクを捕まえるために長年にわたってスパイになりすまし、その機会を待っていたのでした。

そしてフォン・ボルクが眠っている間、運転手としてホームズを連れてきたワトソンと次のような会話をします。

「だって君は隠退していたはずだろう?サウス・ダウンの小さな農園で、養蜂と読書に隠退生活を送っていると聞いていたがねえ」
「その通りさ。暇にあかせて書いた晩年の最大著作がこれだ」といってホームズはテープルにあった本をとりあげ、その表題を読みあげた。
「“実用養蜂便覧 付・女王蜂の分封に関する諸観察”独力でやったのだ。その昔ロンドンで悪人社会を監視したのと同じに、働き蜂の群れを観察したりして、昼は忙しく働き、夜は夜で深く考えたりした結果がこれなんだ。よく見てくれたまえ」

こうしてホームズはお縄になってじだんだ踏むドイツ人スパイを尻目に、彼からまきあげた500ポンドという大金をもちゃっかり手に入れたのでした。(笑)

国家間の陰謀の中で活躍する名探偵ですが、戦争という善悪がつきにくい時代背景のためか、痛快さの中に一抹のもやもや感が残る物語でした。

お時間があれば参考までに、ネットで読める「最後の挨拶」をご覧ください。ご自分で翻訳されたようですヨ!このサイトはスゴイ!
→最後の挨拶

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