ミツバチと共に90年――

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トルストイの「戦争と平和」に出てくるミツバチ

トルストイといえば世界の大文豪、その代表作はなんといっても「戦争と平和」ですネ!

実はこの「戦争と平和」、読んでいるとしばしばミツバチが登場します。
筆者が読んで一番印象的だったのが、ナポレオンがロシアに侵入し、モスクワに到着したシーン。

米川正夫訳の岩波文庫でいえば第3巻(第3部)第3篇の20に出てきます。

1812年、百戦錬磨の皇帝ナポレオンはロシア遠征を決行しますが、モスクワに着いた時、全てのライフラインの供給が止められており、街はもぬけの殻でした。
フランスを出るときは60万だった大軍も、モスクワに着いた時には11万に減っていたといわれ、栄光のナポレオンの悲劇はこのロシア遠征からはじまるのです。

ナポレオンにしてみればまさに“唖然”としたことでしょうが、その歴史的にも衝撃的な場面を、トルストイは女王蜂がいなくなった蜂の巣の様子に例えるのです。

『しかし、そのときモスクワは空であった。もっとも、その中にはまだ人がいた。まだもとの人口の五十分の一ばかり残っていた。けれど、それにしてもやはり空であった。ちょうど女王蜂のいない、死にかかった蜂の巣が空だといえるように、モスクワは空になっていたのである。
女王蜂のいない蜂の巣にはもう生命がないが、しかし表面だけの観察では、ほかの巣と同じくやはり生きているように思われる。』

さらにこのあと、女王蜂のいない蜂の巣の様子が、まるで観察でもしているかのように淡々とつづられていきます。
そして、

『ナポレオンが疲労と不安のために眉をしかめて、主税庁土塁のそばをあちこち歩きまわりながら、形式にすぎないけれど、彼の考えによると、ぜひ守らなければならぬ作法である特使の到着を待っている時、モスクワはちょうどこの蜂の巣のように空になっていた。』

と、この項を結んでいきます。

それにしてもトルストイがミツバチについて非常に詳しいことに驚きます。
それもそのはず、彼は趣味かどうかは知りませんが、家で養蜂をしていたのですから!(笑)

その後ナポレオンは、ロシア軍の徹底した焦土戦術により飢えと寒さに苦しめられ、大火で文字通り焦土と化したモスクワから総退却するのです。
この時うまれたとされる「冬将軍」という言葉はあまりに有名ですネ!

そうそう話は変わりますが、ハチミツは脳にもとても良い影響を与える食品なんですよ!
きっとトルストイは自家採取のハチミツを食べながら、執筆に専念していたことでしょう。(笑)

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