ルーカス・クラナッハという画家がいます。
15世紀から16世紀、ルネッサンス期のドイツの画家ですが、息子も同じ名前なので、区別するため日本では彼の作品にはクラナッハ (父) と表記されることが多いのだそうです。
彼はドイツのヴィッテンベルクで領主の御用絵師として仕え、多くの宗教画を残しました。また、世界史の教科書にも出てきた宗教革命で有名なマルティン・ルターの友人でもあったため、彼の肖像画なども残しています。
なぜクラナッハを紹介するかというと、彼の描いた絵に蜂が出てくるからです。
「なんだ、裸の母と子ではないか!」
と思うかもしれませんが(笑)、子どもの方をよく見ると、右手に何かを持って小さな虫を追い払っているようです。
実はこれ、持っているのは蜂の巣で、怒った蜂に襲われているところなんですネ!
無造作に蜂の巣を取ればミツバチだってそりゃ怒りますヨ!(笑)
更に見ると、子どもの背中に羽根が……。
そう、描かれているのはギリシャ神話に登場するヴィーナスとキューピッドなんです。
蜂の巣を盗もうとしたキューピッドが蜂に刺されて、母のヴィーナスが「ダメじゃない!」と、お説教をしている場面なんですネ!
西欧ではミツバチは神様の使者なんだそうです。
クラナッハはこのお話をモチーフにしてこの絵を描いたのです。
それにしてもお母さんのヴィーナスは、妖艶で、かつ官能的ですネ~!(笑)