ヴィクトル・ユゴーのレ・ミゼラブルの中で、修道院の若い娘たちをミツバチに例えた場面が出てきます。
それは第6編プティー・ピクプュスという、修道院について細かに描かれた章の中に登場します。
若い修練女たちは厳しい修道院のしきたりの中で個を律する生活を送っていますが、ある一瞬に見せる、乙女らしく無邪気に笑い、飛び回るみずみずしい姿をミツバチに例えます。
『賛美歌の後、鐘の鳴った後、鈴の鳴らされた後、喪鐘の後、祭式の後、そこに突然蜜蜂の羽音よりもなおやさしい娘らの声がわき上がっくる。喜びの巣は開かれて、各自に蜜をもたらしてくる。(中略)壁はそれら多くの喜悦を反映してほのかに白み、それらのやさしい蜜蜂の群れをながめている。』
そして、
『それらの咲き誇ったみずみずしい魂ほど喜ばしくまた尊いものはない。』
と讃えます。(訳・豊島与志雄)
ユゴーにとってミツバチは、当時の修道院の乙女たちのように神に近い存在で、その健気な姿が愛おしく感じていたのでしょうネ。