巣への居つきが悪いため、養蜂がとても難しい日本在来種の和蜂(日本ミツバチ)の採蜜は、古くから伝わる古式養蜂というやり方です。
西洋ミツバチとの採蜜工程の違いから、採取される蜂蜜には「ローヤルゼリー」や「プロポリス」、「花粉」などが混ざり、西洋ミツバチのそれより栄養価が高いのが大きな特徴です。
日本在来の和蜂と伝統の古式養蜂にこだわったこれぞ生粋の日本の蜂蜜≠ニもいうべき逸品です。
※日本ミツバチから採れるハチミツは“百花蜜(雑花蜜)”になります。
巣の穴が小さく、集蜜量が極端に少ないため、日本蜂はちみつの採取方法は日本古来のやり方になります。
1.巣の蜜蓋を取り除き、笊に入れて更に巣を壊してしぼります。
2.そのまま1〜2週間ほど放置し、はちみつが落ちるのを待ちます。
3.濾し器で濾過し、抽出時にまざった蜜ロウなどの余分なものを取り除きます。
※この採蜜方法では、ローヤルゼリーはじめ花粉やプロポリス等も混在するため、西洋ミツバチのはちみつより栄養価が高くなります。
重箱式
丸太飼い
古式養蜂とは、西洋ミツバチの養蜂に見られるように、特に決まったやり方があるわけではなく、自然にできた和蜂の巣を愛で、そして見守り、蜂蜜が充分たまったところでその自然巣を収穫し、それをしぼって蜂蜜を採取する技法のことをいいます。
ですので四季を通して飼い方もまちまちで、季節によって熊の襲撃を受けたり、夏はスズメ蜂の襲来で働き蜂の数が半分以下に減ってしまったりということもよくあります。
日本ミツバチは西洋ミツバチより少し小さめで、性格もおとなしくあまり攻撃もしてきません。
一応、飼い方としては“丸太飼い”や“重箱式”といったものもありますが、とてもデリケートで飼うことがとても難しいミツバチです。
現在の養蜂技術が日本で行われはじめたのは明治時代に入ってからのことです。
ではそれ以前に日本にはちみつがなかったかといえばそうではありません。
『日本書紀』には、「百済の余豊太子という人が、日本の三輪山でミツバチの巣を四枚持って、放って飼っていたが失敗した」という記載があります。
その頃からハチミツを採取しようとしていた様子がうかがえ、すでにハチミツは食品として認知されていたことが分かります。
また、平安時代の『延喜式』には、地方からの献上品としてハチミツが贈られていた記載があります。
「蜜、甲斐国1升、相模国1升、信濃国2升、能登国1升5合、越後国1升5合、備中国1升、備後国2升」と。
全国のハチミツを全部合わせても10升たらずですので、古代の日本におけるハチミツはきわめて貴重な食品だったことがいえます。
▲江戸時代に書かれた「教草」蜂蜜一覧より
その貴重なハチミツが庶民の口に入るようになったのは江戸時代に入ってからのことでした。
やがて江戸後期になると、ハチミツの生産法の解説書が出たり、養蜂の専門書を書く人が現われます。
当時のハチミツは消化器から呼吸器、循環器、眼病、皮膚病などに効く万能薬のように扱われ、やがて日本にも伝わった中国の薬学書『本草綱目』には「十二臓腑ノ病ニ宜カラストイフモノナシ」と絶賛されました。
西洋におけるハチミツの歴史ほどではありませんが、日本古来のハチミツは日本人にとっても大切な食文化のひとつといえるでしょう。
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