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蜂蜜エッセイ応募作品

素敵な散財

ミモザ

 

 ある日のこと。同居している八十代のお義母さんが、私に何かくれるという。みると可愛い袋でラッピングしてある瓶入りのはちみつだった。私の実家の母の分と、妹の分もくれた。
 しかもそれは、みかんとレンゲの国産のはちみつだ。私には買う勇気が出ない金額のはずだ。
 「お義母さん、これどうしたの?」
 遠慮がちな私にお義母さんは、どういう経緯のはちみつか説明してくれた。

 少し前、お義母さんのところに、銀行から休眠口座についての通知の郵便がきた。手続きに来てほしいと書かれた案内を、私も一緒にみて確認した。
 早く口座の解約の手続きにいかなくちゃね、と話した。
 後日、お義母さんが解約の手続きに行ってきたのも知っていた。無事に解約出来て、お金を受け取った、と報告を聞いた。
 このはちみつはそれに関係するはちみつだった。
 どういうことかというとお義母さんは、その解約で受け取った、長い間ずっと忘れていた1万数千円を何かに使ってしまおうと考えたのだという。
 その時、ちょうど近所のはちみつ屋さんからチラシが届いた。
 ちょうど良いと思ったお義母さんはさっそく、解約のお金で買えるだけ、そのチラシの国産はちみつを買って、みんなにプレゼントすると決めたのだ。
なんて素敵な散財方法!しかもお義母さんが自分で可愛くラッピングしてくれてある。花柄の袋に入れてリボンを結んである。
 お義母さんの分、私の分、お義母さんの妹の分、私の実家の母の分、私の妹の分…お母さんは小さな箱に並べて入れていた。
 お義母さんはいつも、決断と行動が速く太っ腹な人だ(太ってはいない)。
私にはこんな素敵なお金の使い道は思いつかない。私はお義母さんへの尊敬の気持ちいっぱいではちみつを受けとり、どうやって食べようか、わくわくする。
 紅茶に牛乳と一緒に入れてハニーミルクティにしようか、ちょっと生姜を入れても良い。ヨーグルトにバナナを切って入れ、はちみつをかけて食べるのも好きだ。その場合はシナモンの粉を振ろう。
 ホットケーキをミックス粉など使わずに焼いて、お義母さんと一緒に食べようか。うん、それが一番良い。おいしいバターを四角く切って乗せ、少し溶けたところにたっぷりとはちみつをかけよう。
 それを食べたら、お義母さんのように素敵な散財の出来る人になれるかもしれない。

 

(完)

 

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