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たとえば、ある朝

はるか

 

 ダダダダダーーッ!
 さあ、今日も始まりました!
 階段を駆け下りてくる足音が開幕を告げるゴングさながら我が家に響き渡っております。
 本日の第一走者は誰だ、誰だ。
 「おっはよー」
 おおっと長男、中学一年生であります。反抗期に片足を突っ込んでいるという情報が入っておりますが、まだ眠い朝は非常に素直であります。
 続いて姿を現したのは、おっ、これは予想通り、小学生の長女、次女コンビです。ソファーで二度寝の体勢に入った次女とは対照的に、長女は着々と準備を進めていきます。
 おおっとこれは、長男に並んだか。トップ独走の長男に並んで、飲み物の用意に取りかかりました。
 朝食はパン派の我が家、飲み物はセルフですが、牛乳必須という鉄の掟が存在します。成長の一助にという母心をくみ取り、それぞれカップにトクトクと牛乳を注いでいきます。
 レンジから取り出したカップに温かな湯気が立っている。さあ、そこへ長男はカップスープの素を投入、アレンジを加えた。長女はどうか。右手はどこへ向かうのか。
 ココアの袋だー! しかしこれはどういうことか、長女の前にはカップが二つあるぞ。
 「ココア、できたで」
 なんと次女の分も作っていたー! 感動であります。麗しき姉妹愛。ソファーから起き上がった次女も嬉々として食卓に向かいます。
 ん? 小さな手だ。小さな手が牛乳に伸びているぞ。
 いつの間に起きてきたのか、ラスボス末っ子の登場です。年長の次男、おぼつかない手で牛乳を温めている。ここはグッと我慢のしどころだ。牛乳こぼされたら一大事やねんという思いと、彼の自立心を応援したい気持ちがせめぎ合います。
 さあ次男坊、無事にホットミルクを作り終えた。拍手喝采です。ほっとしたわホットミルクだけになどとくだらない冗談を思い浮かべたのも束の間、
「ハチミツ入れよ」
 ここでまさかの発言! いやわかっていた、次男はハチミツ牛乳が大好きだ。毎日飲んでるやないか。
 トッローリ。
 ボトルの先から黄金の輝きが垂れる。おいしそうだ。次男の目も輝いています。
 そして緊張の一瞬、切り上げる瞬間が最大のポイントです。どうかシュッと、こう、いい感じに、垂れへんように、頼むで。
 ……垂れたーー!

 なんてね。いいのよ。ミルクをクルクルかき混ぜて、溶け残ったハチミツのスプーンをペロッとなめる顔がニッコニコだから。
さ、私もコーヒーにハチミツ入れて、今日も頑張ろか。

 

(完)

 

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