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蜂蜜エッセイ応募作品

「こころ」を鷲掴みする蜂蜜~粛然、欣然、陶然~

歳空

 

 嗚呼、蜂蜜。
 初めて貴女を見たとき粛然とし、二度目見たとき欣然とし、三度目見たとき陶然とした。

 嗚呼、蜂蜜。
 貴女は何故、かくも我等を魅了するのか?

 香しきその匂い。
 照り輝く黄金色の液体。
 艶にしてかつ雅。
 古来、魅了されなかった者はない。

 手に取り舐めると、官能的で蠱惑的。
 我等は淫され、「こころ」が蕩ける。
 蕩ける蜜を、舌の上で転がす。
 喉は待ち切れず、恋焦がれた天女に触れたが如き悦びで、口腔に大量の唾が溢れる。

 嗚呼、蜂蜜。
 貴女の魅力に幻惑された我等一同、欲する気持ち益々昂じ、一日として欠かすことはできない。

 虜になった我等。
 貴女は「傾国の美女」である一方、風邪予防の「万能薬」として、古来我等を助けてきた。

 目にした瞬間、揺れ動く「こころ」のトキメキ。
 匂いを嗅ぐ瞬間、身体中が熱くなる興奮。
 食した瞬間、いつまでも浸っていたいと思わせる味。
 一瞬一瞬の出逢いを、只々大切にしたい。

 幼少時、食パンにつけて食べた。
 長じて、ウイスキーや珈琲に入れて楽しむ。

 かのクレオパトラも愛飲していたという貴女。
 美容を保つことは、健康を保つこと。
 健康を保つことは美容、つまり外見を維持し、精神のハリを保つこと。

 貴女と出逢い、虜になった私。
 貴女の本当の魅力を知ることができるのは、夕焼けに染まる秋空に漂う憂いを感じ取れる年齢になった、「これから」が本番かもしれぬ。

 

(完)

 

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