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蜂蜜エッセイ応募作品

ミードの思い出

森本 晋

 

 今ではどうしてヨーロッパ中世の宴会に興味を持つようになったのか思い出せないが、中世の料理についていろいろと調べて楽しんでいた。すると料理の本に蜂蜜酒(ミード)という飲み物があると記載されている。聞きなれない名前だったが、当時は一般的な飲み物だったという。しかし、どういうものなのかがよく分からない。近所の酒屋を回ってみたが、どこにも売っていないので、飲んでみることができないのである。インターネットも普及しておらず通信販売もあまりない30年以上前のことで、手に入れることができないままになっていた。そのうちにイギリスを旅行する機会があり、ミードのことを思い出したので気をつけていたら、伝統食品を販売している店で見つけることができた。おおこれだと、さっそく買って帰って来た。
 ミードは蜂蜜を水で割ることによって発酵させる醸造酒であるから、元々の糖分が多く残っていて甘いお酒である。他では味わったことのない個性的なものであるし、蜂蜜と水だけで作ることができるという単純な構成が興味深い。添加物も複雑な操作も道具立ても要らないのであるから、最古の酒と考えられているのも理にかなっていると思う。
 せっかくミードが手に入ったのだから、合わせる料理の方も本格的に中世風にしたいところである。日本では手に入りにくい材料もあるのだが、何と言っても最大の特徴は、現代のヨーロッパで広く食べられているジャガイモとトマトを使わないところにある。どちらもアメリカ大陸原産の食材であるから、中世のヨーロッパには存在しない。当時のドイツやイタリアの人は何を食べていたのか興味がわく。ヨーロッパ中世料理を自作する時も、今の西洋料理からジャガイモとトマトを抜いて考えれば、それなりに似たものを作ることができる気がした。ハーブをきかせた煮込み肉などを用意し、飲み物にはワインとともにミードを添えてみた。ベストのマッチングだったのかはわからないが、友人を呼んでの中世宴会は、衣装も手作りしたり、フォークを使わず手づかみで食べたりと、自己流ではあるができるだけ当時を再現したので不思議で楽しい経験をすることができた。
 今ではインターネットの通信販売でも、いくつかの種類のミードを入手することができるようだ。中世料理の本もかなり集めたので、また久し振りに同様の宴会をしてみたいものだと考えている。

 

(完)

 

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