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働くということ

散歩道

 

 「出世」とは一般に役職が上がることを指し、「偉くなる」とほぼ同じ意味で扱われます。「役得」といった言葉もあれば、内容ではなく誰が言ったかで物事の是非が決まる場面を目にするときなど、誰もが一度は何かしらに違和感を覚え、“働く”ことの意味について考えたことはあるのではないでしょうか。

 蜂は、働き蜂という言葉があるように、古くから働き者として知られ、働き蜂や女王蜂といった区分けがあることも周知の通りです。ただし、働き蜂はどんなに成果を上げても女王蜂になることはありませんし、女王蜂という言葉からも「王と奴隷」的な関係がイメージされます。
 しかし実際には、「リーダーなき秩序と統制の社会」だと言われています。

 女王蜂も働き蜂も生まれたときは同じらしく、与えられる餌(ローヤルゼリー)によって、与えられる役割が変わるのだそうです。
 女王蜂は新しい子孫を一日におよそ千匹も産み付けるそうです。
 働き蜂の寿命は1、2ヵ月ほどだと言われていますが、若いころは蜂の子の育成に従事し、その後年老いてから外で蜜の採集をするそうです。巣の外はスズメバチなどの外敵がおり、殺されてしまう可能性は巣の中とでは比較にならないため、死期が近い老いた働き蜂が危険なミッションに充てられるのです。また、蜂の数の増減に応じて、柔軟に「内勤」と「外勤」に割り当てられる数を調整するそうです。
 このように分担された役割を全うしながら、途方もない昔から彼らの社会を維持してきたと言われています。

 人間よりも古くから社会体制を維持してきた彼らの生き方は、非常に進歩的にも思えてきます。
 個々の働き蜂にとって、女王蜂になれないことは権利や可能性の剥奪ではなく、成功とは女王蜂を排斥して下剋上することでもないのです。“働く”ということは、「巣という共同体全体を豊かにするために自分自身に与えられた役割を全うする」ということだからです。そこには、利他と互恵の関係が築かれているのです。

 会社においても、例えば役職というものは、本来的には身分制度ではなく役割分担に過ぎないものと思います。会社自体も、個々人の利益を追求するためにあるのではなく、社会を豊かにするために備えられた機能の1つであると思います。蜂たちは、会社という“人間の巣”に住むうちに違和感や理不尽に慣れ切った私たちに対して、そうした当たり前のことを気づかせてくれる、そんな存在なのかもしれません。

 

(完)

 

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