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蜂蜜エッセイ応募作品

祖母、母との「温かいはちみつ」

 

 「おばあちゃんの作った、はちみつしょうが届いた?おいしいよね」。離れて暮らす母に、電話で聞いてみた。就職活動をしていた私は、毎日のように母に電話していた。まさに蜂が飛んできたように、受かった落ちたと大騒ぎ。だが、その日は祖母から届いたはちみつが私の気持ちを和やかにしてくれた。
 祖母がはちみつを送ってくれるきっかけになったのは、1年前の出来事があるからだ。祖母、母、私の3世代で夏に旅行にいったのだ。旅館の朝食バイキングでは、ヨーグルトにかけつはちみつがなかった。「毎朝はちみつかけてるから、ないとさびしい感じがする」と私が言うと、「あれ、かけてたの」と母。祖母も、クルミとはちみつが朝の定番だそうだ。
 母と私の「朝はちみつ」を知った祖母は、それ以降、宅急便にはちみつを入れてくれるようになった。料理が好きな祖母はきっと、「はちみつだけだと味気ないから、しょうがを入れれば手作りになる」、そう思ってくれたに違いない。
 私が内定を取ってまもなく、祖父の手術があり、母と私は、祖母とともに見舞いに立ち会った。無事手術が終わった翌朝、祖母の家ではちみつしょうがヨーグルトを食べた。「これ、おいしいよね」と母。「うん。あれ、3世代で朝ごはん食べるの、もしかして去年の夏以来?」と私も加わる。「あなたたちは、仕事に就活に、ほんとうに忙しそうだったものね」と祖母はさびしそうに言う。続けて、「あれ、このしょうが食べられるのよ。ヨーグルトにかければいいのに」。「しょうが、もったいないからお肉に漬けこんでるよ」と母。なるほど、と思いつつ私は紅茶に入れていることを話した。
 はちみつは、朝のヨーグルトだけでなく、お肉を柔らかくして、紅茶もおいしくしてくれる。祖母や母と、そのような会話ができるくらいに私の自炊生活も板についてきた。はちみつの優しい甘さだけでなく、しょうがの効能である温かさまで加わっていることが、親と子の関係を象徴しているかのようだ。

 

(完)

 

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