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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

おさじ一杯が一生涯

牛歩ちゃん

 

 木のおさじで容器の底から蜂蜜をすくい上げる。光を反射して蜂蜜がきらきらと輝く。その様をおさじの角度を変えながら眺める。琥珀色をした蜂蜜は、さながら宝石のようだ。台所の隅にひっそりと佇む我が家の宝石。この宝石は、見て食べて、私の心をきゅんとさせてくれる。蜂蜜のきらめきを眺めるのに気が済んだら、大きく開けた一口でおさじをぱっくりと咥え、蜂蜜を舐めとる。口いっぱいに蜂蜜の甘みが広がる。あー幸せ。一日の終わりのほっとする時間だ。
 私は寝る前におさじ1杯の蜂蜜を口にすることを日課としている。「今日も一日お疲れさま」と自分をねぎらう儀式のようなものかもしれない。仕事や勉強で疲れれば疲れるほど、寝る前の蜂蜜は心に沁みるものだ。
 私がこの日課を始めたのは、寝る前の蜂蜜摂取が健康に良いと耳にしたからだ。少し調べると、寝る30分~1時間前の蜂蜜は、ダイエットや身体の老化防止・腸内環境の改善・殺菌作用・免疫力アップに効果があるらしいことがわかった。どの程度自分に効果があるのかはわからないが、ちょっとの習慣で良いことづくめならやってみるほかない。それに、自分で言うことではないが、寝る前に蜂蜜を食べるのって可愛らしくないだろうか。そうした健康への意識と幾分かのナルシシズムからこの習慣は始まった。
 蜂蜜の効果かどうかは定かではないが、私はここ数年風邪などひかず、体調良好で生きている。健康でいられるのはありがたいことだ。蜂蜜に馴染み深くなるともっと知りたくなって調べてみる。ミツバチ一匹が一生かけて集める蜂蜜はティースプーン一杯ほどだという。私が寝る前に摂取している蜂蜜はティースプーン一杯位あるだろうから、ミツバチ一匹の一生の成果を身体に取り入れていることになる。自分に当てはめて考えると途轍もないことだ。いま私は朝から晩まで働いているが、それを一生続けた分の成果が、ミツバチで言うティースプーン一杯分。ミツバチの生涯の集大成だと思うと、私が一口で味わえてしまう蜂蜜の貴重さをより感じざるを得ないし、蜂蜜の成分に加えてミツバチの働き自体のパワーが私の健康を支えているような気がしてならない。あらゆる存在に支えられて生きていることを改めて感じる。
 今日も私は蜂蜜をいただく。やさしい甘さが、明日もがんばれと後押ししてくれる気がする。

 

(完)

 

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