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蜂蜜エッセイ応募作品

蜜蜂に感謝

増田 和惠

 

 梅林に囲まれた我が家は、近くに川が流れ、堤には様々な花が咲く。橋に続く道には延珠の街路樹が植えられ、晩夏に花を咲かせる。
 10年前になるだろうか。出入りの庭師さんから「管理はすべてこちらでしますから、養蜂箱を置かせていただけないでしょうか」との依頼があった。巣箱の蜂を刺激しないなど、幾つかの注文があったが、養蜂とはいかなるものかに興味が湧き、喜んでその依頼に応じたのだ。それから間もなく我が家に幾つもの養蜂箱が持ち込まれ、定期的に防護服を纏った庭師さんが来るようになった。
 彼は巣箱の手入れの際に、蜂の習性、巣箱の中にいる蜂の役割、雌雄の卵の判別、蜜蝋など、養蜂に纏わる多くのことを教えてくれた。また、私自身も文献にあたり、蜜蜂の知識を広げたが、机上の知識と実際とは、かけ離れていることもあり、目の前の蜂に驚かされることが屡々あった。
 養蜂箱が設置された最初の夏の朝、普段通り養蜂箱の様子を見に行くと、柿の枝に1㍍以上に垂れ下がった奇妙な蜂の塊があった。凄まじい羽音、何万匹いるのだろうか、夥しい蜂の群れである。大声を上げてはならないと分かっていても、悲鳴を上げてその場から逃げてしまった。それが分蜂であることに気付いたのは家に入ってからだった。習性とは言え、女王蜂の統率力と働き蜂の忠誠心、団結力に本当に感心させられた瞬間だった。
 またある時、養蜂箱にある僅かなロイヤルゼリーを、すくって舐めたことがあった。その時感じたのは市販されているロイヤルゼリーとは全く違っていたことだ。味や香りも然りであるが、後の効能が驚くべきもので、全身に活力が漲り、女王蜂が卵を産み続けられることを納得したものだ。蜂蜜の濃厚な味も同様だった。
 以来、蜜蜂の偉大さに敬意を払い続けている。そして懸命に集めた蜜を無断で分けていただいていること、蜂蜜から様々な恩恵を被っていることに、心から感謝している。

 

(完)

 

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