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蜂蜜エッセイ応募作品

聖書と蜂蜜

村上順三

 

 世界で最も多くの人々が古くから読んでいると考えられる聖書には、蜂蜜はどのように書かれているのだろうか。
 聖書の主な舞台は今日パレスチナと呼ばれる地域である。聖書のなかの特に旧約聖書ではこの地域を「乳と蜜が流れる土地」だと繰り返しあらわされている(出エジプト記3:8以下23か所にある)。この地は預言者モーセがエジプト王ファラオの下で奴隷とされていたイスラエルの民を救い、唯一の神を信じることなどを含む十戒を守ることにより神に約束された土地である。この「乳と蜜が流れる土地」という意味は、申命記8:9にある「食物に欠けることなく、なんの乏しいことのない土地」をいう。乳は飢えることのないことを、蜜は豊かに生きることができることを象徴しているのである。さらに聖書には「岩の中から蜜を吸わせる」ことができる土地という表現もある(申命記32:13,詩篇81:6)。これは蜂蜜が固化して岩のような状態になった所謂「岩蜜」のことかもしれない。この土地に生えているアカシア、アーモンド、あざみなどから採られている蜂蜜は昔からオリーブの油とともに日常的に摂られる重要な食品であった(エゼキエル書27:15など)。また蜂蜜は土地の名産として輸出商品の一つでもあった(創世記43:11など)。
 そして聖書では蜂蜜が甘さを意味する譬え話によく出てくる。蜂蜜の甘さは性的な甘美の表現に使われることもある(箴言5:3や雅歌4:11など)。また蜂蜜は少量でも摂取することで人々を元気にさせる効用がある。この甘味や滋養の効用が重要な役割を演じている話がある。士師記(14:5~19)の英雄サムソンの話ではライオンが力の象徴であるのに対して蜂蜜の甘さが優しさや心地良さの象徴となっている。サムエル記(14:24~46)のイスラエル王サウルとその子ヨナタンの話では少量でも蜂蜜を摂ることにより目がはっきり見えるようになったということが述べられている。
 以上のように旧約聖書には蜂蜜が昔から大事な食品の一つであり、その甘味と滋養から人々に豊かさを実感させるものとして描かれている。それに対して、新約聖書ではイエスに洗礼を与えた洗者ヨハネが野生の蜂蜜を常食としていた(マタイによる福音書3:4、マルコによる福音書1:6)ことと黙示録にわずかに甘味の表現があるだけである。

 

(完)

 

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