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蜂蜜エッセイ応募作品

妻を救った蜂蜜

三宅隆吉

 

 いつの頃からか、我が家には食後にデザートを食べる習慣ができた。多分私達が老境に近づいたころだったと思う。
今、デザートの主役は蜂蜜である。妻がいつの間にか、健康は食事からだと宣言し、健康に良い蜂蜜に漬かったものが食卓を占めている。
 レモン、ニンニク、ショウガ類である。
 中でもレモンは庭に10年以上経つ木があり、毎年律儀に沢山の実を成らせてくれる。
 レモンの実を蜂蜜につけて、炭酸水で割って飲む。すっきりした気分になり夏の暑さ対策にはこれに勝るものはない。
 ニンニク漬けは臭みも抜け、ビールのつまみに最適だ。
 ショウガ漬けはお湯で割って飲めば身体が温まり冬の寒さ対策に重宝している。
 人生良いことばかりではなかった。昭和55(1980)年の冬、突然、医師に呼ばれた。
 妻が「がん」であることを告げられた。「まさか!」私はうろたえた。平常心を失っていた。当時、医学は今のように進んでおらず、がんは即死を意味していたように思う。
 手術後、妻が私の手を握り「できるだけ、長く側にいて下さいね」と言った。妻の目は潤み死を覚悟していた。
 病院食も受け付けず、急速に体重が減っていった。「蜂蜜を食べたい」と言った。
 スタッフの許可を得て与えた。徐々に食欲が回復してきた。
 蜂蜜は病状を一変させた。食欲を進め病院食も食べられるようになった。
 病院スタッフの献身的な努力、3人の幼い子供を残しては死ねないと言う妻の強い意思、そして蜂蜜のさわやかで豊潤な味覚が妻を救った。
 妻は「蜂蜜よりおいしいものはない」と今でも言っている。

 

(完)

 

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