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蜂蜜エッセイ応募作品

父と蜂蜜

ゆうたんパパ

 

来年卒寿を迎える父は、蜂蜜が大の好物だ。私が物心ついた時から、父が蜂蜜を美味しそうに食べている姿を覚えている。朝食のトーストにたっぷりの白胡麻ペーストと、たっぷりの蜂蜜を塗るのが父流の食べ方だ。私たち息子3人も父の食べ方に倣った。今、振り返ってみると、それはとても贅沢な食べ方だった。田舎育ちの父は、「俺が子供の頃に食べた蜂蜜の味は・・・」が口癖で、「本物の蜂蜜」の味を求めた。「本物の蜂蜜」だったから、多分、値段もそれなりにしたはずだった。母は、育ち盛りの子供たちが「美味しい、美味しい」と言って食べるのを笑顔で見守ってくれていた。お陰で家計はいつも火の車だったようだ。そんな母もまた、子供には身体に悪いものは食べさせたくないからと、極力、添加物の少ない天然のものを食卓に出すよう心掛けてくれていた。お陰でエンゲル係数高めの立派な大人に成長することが出来た。 
 父の日が近づくと、決まって長兄から電話が掛かってくる。 
 「今年は、もう、どうするか決めとるね?プレゼント、一緒にしようか?」 
 「いや、まだ、決めとらん。じゃあ、一緒にお願いしようかな。」 
 「分かった。じゃあ、何にしようか?」 
 毎年、こんな会話が決まって繰り返されるのだ。毎年のことだから、父が興味を持ってくれそうなものはひと通りプレゼントし尽くしてしまった。最近は、ネタ切れで困ってしまうことが多い。そんな時、私達は鉄板のマヌカハニーを選ぶようにしている。父はニュージーランド産のマヌカハニーを愛用している。風邪をひいた時、抗菌作用の高いマヌカハニーを舐めると一発で治るそうだ。使っている本人が言っているのだから、きっと間違いない。「本物の蜂蜜」好きの父が選ぶマヌカハニーは、やはり、MGO値が高いものだ。だから、私達のプレゼントも父の選び方に倣い、MGO値が高いものを選ぶ。 
 「おお、これ、これ。ちょうど無くなりかけとったけん助かるよ。」 
 父は、いつも喜んでプレゼントを受け取ってくれる。 
 父が子供の頃に食べた「本物の蜂蜜」の味は、一体、どれほど美味しかったのだろうか。私は想像する。戦後、日本がまだ自然豊かな時代のことだから、きっと正真正銘の天然物だったのであろう。ひょっとしたら、加熱処理をしていない、巣箱から出したてのものを舐めていたのかもしれない。今となっては、昔の食生活がいかに贅沢だったことか。 
 さて、来年の父の日のプレゼントは、アカシア蜂蜜でも送ってみようか。長野に非加熱の「本物の蜂蜜」を扱っている店があると分かったから。果たして父は気に入ってくれるだろうか。また、来年も父の喜ぶ顔が見たい。

 

(完)

 

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