はちみつ家　>　蜂蜜エッセイ

元気になる蜂蜜

ハヤト

　どうしたらいい？何をしたら元気になるんだろう考えても思いつかない。その時、部屋の窓からモンシロチョウが飛んでいるのが見えた。あの日、あの時の光景が駆け巡ってきた。
　暖かい日差しの中、家族三人でお出かけ。モンシロチョウが飛び追いかけると紫と白色が混じった花畑があった。初めて見る花に母がレンゲソウと教えてくれた。その時、ブーンと音がして見た事がない虫がいた。
　「みつばちさん。蜂蜜を運んでくれるんだよ。蜂蜜を食べると元気になるんだよ。」
　母が僕の肩に手を置いて言ってくれた、あの光景だ。
　僕は、お小遣いをかき集めると走ってスーパーへ行った。手にしたのは蜂蜜だ。母さん言ったよね、蜂蜜食べると元気になるって。お願い助けて蜂蜜さん。そう願いながら蜂蜜を手に家に帰った。ヨーグルトに蜂蜜を入れて母に手渡す。　
　「蜂蜜が入ってるよ、みつばちさんの蜂蜜だから元気になるよ。」
　最後は涙声だった。母はニコッと笑ってスプーンでゆっくりと口に運び食べてくれた。全部食べてくれた。嬉しくって涙が止まらなかった。母も泣いていた。
　あれから母はみるみる元気になった。蜂蜜のお陰だと思う。いつか家族で、あのレンゲ畑に行き叫びたい。
　「蜂蜜さんありがとう。みつばちさんありがとう。」

（完）