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蜂蜜エッセイ応募作品

朝顔と夕顔の架け橋

里山 すみか

 

 すべてコロナのせいとは言わないが、勤めていた病院が経営破綻して別の病院に譲渡された。一度は私も移行したが水が合わず退職した。気力を失って毎日をボーっと過ごしている時、同職の先輩から夕顔の苗をもらった。
 生命力の強い夕顔は地植えするとあっという間に、朝顔のテリトリーまで侵食し始めた。毎日水を撒きながら花が咲くのを心待ちにしていた。
 朝顔は赤紫の、夕顔は真っ白な花を咲かせ始めると、見ている私を邪魔だと言わんばかりに、蜜蜂が毎日飛んで来るようになった。
 夕顔の花は朝になると萎れてしまうのに、まずはその花粉を身体に纏う。そして今開いたばかりの朝顔に身体を突っ込んで、心ゆくまで仕事をしている。
 「重たくないの?」と声が漏れてしまうほど、脚には花粉のお団子が出来ている。毎朝2匹の蜜蜂が来てくれて、縞模様の色からAちゃんとBちゃんと名付けた。
 7月8月と毎朝会っていたので私を覚えてくれたのか、でき始めた朝顔の種を収穫する私の手が近くを通っても絶対に刺さなかった。
 花々を飛び回ってたっぷりと花粉を集めて、どこまで帰るのだろう。上手く飛べなくて鳥に狙われないかとハラハラしたりもした。
 10月に入ると、めっきり姿を見せなくなった。
 もうこの近くにはいないのだろうか。まだ花は咲いているというのに。何をしているんだろう、私。まるで子どもを心配している母親のようだと苦笑した。
 来年も花が咲いたら、あの2匹の蜜蜂は来てくれるだろうか。たった2センチほどの蜜蜂に、たくさんの元気をもらった。
 あの2匹の蜜蜂が作った蜂蜜を食べてみたいと思う秋の日である。

 

(完)

 

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