はちみつ家　>　蜂蜜エッセイ

蜂蜜VS白砂糖

ＲＵＭＩ

　結婚と同時に夫の両親と同居を始めた私は、５年ほど経った頃から、原因不明の体調不良に悩まされていた。頭が痛い、疲れやすい、体がだるい…。しかし健康診断を受けても異常は見つからない。　「なぜだろう」と疑問に思う日 々を送っていた。
　ある日ふと、「もしかして白砂糖が体に合わないのでは」と思いついた。なぜなら、義母は「甘ければ甘いほど良い」と、まるでお菓子のような料理を好み、白砂糖をドバドバと鍋の中に入れていた。義母の料理を食べた後、必ずと言っていいほど体が重くなるのを感じていたからだ。
　「このままだと病気になる」と危機を感じた私は早速、白砂糖に代わる体に優しい甘味料を探し始めた。そしてスーパーに並ぶ蜂蜜を目にしたとき、「これだ」と迷うことなくカゴの中に入れた。
　それからは料理レシピの「砂糖」の表示を「蜂蜜」に置き換えて作った。蜂蜜の自然な甘さは違和感がなく、体の中ですーっと吸収されていくのを感じた。
　しかし義母は「白砂糖が１番」と言い放ち、譲らない。蜂蜜VS白砂糖の戦いが始まった。台所には、蜂蜜と白砂糖が敵対するかのように常備されるようになった。健康料理を推奨する私と、こってりした料理を好む義母は平行線のまま、３０年が過ぎた。
　２年ほど前に義母が他界し、長年にわたる戦いは幕を閉じた。今、我が家の台所に白砂糖はない。やっと白砂糖から解放された喜びに浸っている。これからも蜂蜜とともに、残りの人生を健康に過ごしたい。

（完）