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蜂蜜を深読みすると

おおたふみば

 

 女性は本質的に蜂蜜が好きなようだ。母も姉も蜂蜜が大好きで、自分の好みの蜂蜜に巡り合うまで、ずいぶんと遍歴を重ねていた。今では母は、自宅から環水公園まで歩いていく途中にある酒屋(!)でしか小売をしていない蜂蜜を、姉は通販の蜂蜜を取り寄せて楽しんでいる。姉は結婚して別の世帯なのでどんな風に蜂蜜を消費しているかは未知だが、母は蜂蜜を紅茶に入れたり、トーストに塗ったりしている。亡くなった父は特に蜂蜜が好きな感じではなかったので、両手で持つとずっしりと重みのある瓶に入った蜂蜜を、実質母が一人で消費しているとしか思えない。それにしては減り方が早いような気もするのだが。でも、冬場になると蜂蜜の蓋が開かなくなったといって、わたしがちょっと力を入れて開けてあげるのが最近の行事である。そんなときは、ふと思うのだが、かつては開かなくなった蓋を開けてあげるのは父の役割だったのではないか、と。女性は個人差があるが、そんなに力がないわけではないだろう。力のいる仕事は男の領域であるということを、ときどき男に認識させることによって、ちょっと気分を良くさせたりすることで、ごく自然にコミュニケーションをとっているのではないだろうか。そうすることによってバランスを取ったり、無理に力を入れて関節を痛めたりするのを予防しているのではないか。まあ、それは深読みにすぎるかもしらんが、母と姉が蜂蜜に凝っているのは、まだ母も若く姉もこどもだった頃は、家は蜂蜜を楽しむような余裕はまるでなく、いつも家計は大変だったことを乗り越えたことへのご褒美なのではないかとも思う。母も姉もそれぞれ資格をとって仕事を続けて、自分の好きなことに自分のお金をある程度使えるようになった。蜂蜜はちょうどいいくらいの贅沢なのかもしれない。お気に入りの蜂蜜を買ったときは、ふたりともそれぞれ一瞬は、ちょっとした感傷に浸っているかもしれない。

 

(完)

 

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