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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

真夏のミステリー

小野 淳子

 

 数年前に、忘れられないミツバチの思い出がある。世界的にその数が減りつつあるというニュースを知って、少なからず胸の痛みと共に、漠然とした不安感が残った。ある猛暑続きの夏の夕方、犬の散歩から帰った息子が、庭でゾッとする光景を見掛けたと言う。次 々と見に行った家族が口をそろえて、「あれはちょっと引くなあ。」と顔をしかめた。最後に見た私も、初めて見るその光景に鳥肌が立った。それは、梅の木の幹に、縦三〇センチ、横一〇センチほどの楕円形にびっしりと、無数のミツバチが幾重にもへばりついている光景だった。その異様な光景は突如として現れ、皆を驚かせたのだ。ミツバチ減少中の情報が自分の中に残っていただけに、大集団でしかも、我が家の庭を訪れてくれたことは、ある意味とても嬉しい。しかしなぜ住宅地の庭に集団で滞在したのだろうか?さてどうしたものか?
 あれこれ悩んだ翌日、さらに驚かされることになった。
 午前中、何ら変化はなかったが、午後の激しい雷雨の後、ミツバチたちは、何の痕跡も残すことなく忽然と姿を消した。ひょっとしたら蜂蜜を味わえるかも ・ ・ ・なんて、ちょっぴりせこい思いが頭をかすめたことも、一気に吹っ飛んだ。何もかもが夢のような、真夏のミステリーだった。

 

(完)

 

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