沖本水澄
久しぶりに食べた蜂蜜は、私の胃袋を救ってくれた。
私は昔から蜂蜜が大好きだった。毎朝トーストにかけて食べたり、ミルクに入れて飲んだり。
だけど最近は、ついケーキやチョコレートなどに目が行き、めっきり遠ざかってしまっていた。
そんなある日、私は突然体調を崩した。乳製品や刺激物を食べると酷い下痢が続く。薬を試すもまったく効果がない。三度の飯より甘いものが好きな私は相当参ってしまった。餅や団子ばかりはもう嫌だ!そうやって悶々とする日々の中、ふと「蜂蜜はお腹に良い」との情報を得た。それと同時に、蜂蜜の甘くて優しくて、どこか懐かしいあの味が蘇ってきた。お母さんの作ってくれたハニートースト、おいしかったな…。そんなことを考えているといても立ってもいられなくなり、近所を探し回った。なかなか置いてなかったが、ようやく道の駅で見つけた。そこには目移りするくらいたくさんの種類が置いてあった。茶色い蜂蜜に薄い黄色の蜂蜜。百花蜜に単花蜜。それとこれは、蜂の巣?陳列されている中に、不思議なものが見え隠れする商品があった。解説を読んでみると蜂の巣、つまり蝋がそのまま入っているらしい。普通の蜂蜜と一緒にそれも購入し、家に帰った。本当はトーストにかけて食べるつもりだったがそんなの待ちきれない。スプーンで一口すくって舐めてみると、口いっぱいに当時の記憶と甘みと香りが広がっていく。あの蜂蜜の独特の風味。幼い頃はこれが苦手だったけれど、今ではこの味が大好きだ。しばらく離れていた分を補うようにたっぷりと味わったあと、例の蜂の巣をつまんでみる。これが記憶とは違う点だ。じゃりじゃりしていてなんだか面白い食感だ。正直食べるまでは「巣を食べる!?」なんて訝しく思っていたが、案外美味しい。それに巣を丸ごと食べているなんて、不思議な気持ちになってくる。ガムのような感じだろうか。食べ切ってしまう勢いだったがぐっとこらえて瓶の蓋を閉めた。きっとこれからも長く楽しめる方がいい。
しばらくは、瓶一杯の蜂蜜がある。しかも、これならたくさん食べてもお腹を壊さない。そう考えると、憂鬱だった気持ちが少し明るくなってきた気がする。
体調自体は変わらない、だけど蜂蜜とは長い付き合いになりそうだ。
(完)
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