金原基道
テレビアニメ「昆虫物語 みなしごハッチ」を幼い頃、夢中になって観ていた。1970(昭和45)年の放映だから、今から半世紀以上も昔で、私は就学前だった。
「ハッチが可哀想だ」と泣きながらテレビ局に抗議の電話をするように親にせがんでいたという。むろん、私自身にはそんな記憶はない。だが、親にとってはかわいい盛りの頃の思い出だから確かなのだろう。からかい半分によく両親から言われたものだ。
「みなしごハッチ」は、ハッチが母親を探しす冒険物語だけではなく昆虫世界の弱肉強食も描いた、今では子供が観るには、残酷な話かなとも思う。だが、人間や動物は生きていくためには他の植物や動物・昆虫の生命をいただかなければならない。もちろん感謝の思いを抱きながらだ。だからハッチの仲間たちがせっせと集めた蜂蜜も大切においしくいただく。
だが、食べるためだけではない。ミツバチが蜜を採取しながら植物の受粉の役割を果たし、果物・野菜の生産のみならず生物多様性維持に貢献していることはよく知られるところだ。もし、人間が蜂蜜を人工的な施設を設け、ミツバチを使って蜂蜜を集めることをしなければ、80億を超える世界人口の胃袋を支えるまでにはならなかっただろう(実際には世界人口の食を賄いきれてはいない。だが、賄おうという努力を国連はSDGsの目標として掲げている)。
おいしく食べることがSDGsになるのが現代人の役割なのかもしれない。もちろん専門家からしたら「ふざけんな、けしからん」という誤った見解も多いと思う。それは仕方ないのてで、働きもののミツバチのようにせっせと正しく、受粉活動のように情報発信をしてほしい。働き蜂のような昭和サラーリマン的悲哀で訴えるのではなく、春の麗らかな空をブーンと自由に飛ぶミツバチのような温かな発信でもって。ただ、いくら間違っていてもスズメバチのような超攻撃的な必殺の一刺しは勘弁してください。
しかし、心身ともに疲れている時、いつもは喫茶店でブレンドコーヒーしか頼まないのに、少し高い「ハニーカフェオレ」とかを注文してしまう。「ハニー(honey)」の文字を目にしたら反射的にだ。夏なら涼しい、冬なら暖かな室内で飲む甘いコーヒーは疲れた心と身体、そして普段あまり使いなれていない頭脳も癒してくれる。これが分かっているからつい喫茶店のドアを開ける。これが本当のハニートラップだ。
(完)
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