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蜂蜜エッセイ応募作品

紅茶には何を入れる?

りりちゅ

 

あなたは砂糖2個入れるって知っているけれど、あえて蜂蜜を入れてみる。

 

蜂蜜の優しい甘さであなたの心が癒されますように。

じんわりと心が暖かくなりますように。

そして、この気持ちが、少しでも伝わりますように…………。

 

机に座って難しい本を読んでいるあなたのところに丁寧に紅茶を運ぶ。2人分の紅茶。

2人の運命はまだ交わらないけど、こうやってほんのひとときの間、同じ時間を分かちあうこと、分かちあえることが、ここ最近の暗黙の約束になっていた。

砂糖2つも暗黙の約束。

だけど、今日は違う。

 

柔らかくお礼を言ったあと、ティーカップに唇をつけたあなたがほんのり困惑の表情をするので。

蜂蜜紅茶ですよ。

……ハニーティーとも言いますよね。

最後、明らかに声が震えてしまった。

なるべく意識しないようにして、同じようにティーカップに口付ける。

甘い匂いが鼻を掠めた。おいしい。喉の奥が熱くなる。

蜂蜜は、疲れに効くし栄養も多い、様々な効能がある、意外と紅茶にも合う、蜂蜜を入れた紅茶の甘さは上品な味わいだ、そんなたわいも無い感想を語り合う。

同じ趣味、同じ価値観を共有できる相手との幸せな時間だった。

 

ふとーー。

視線の先のあなたが目に入り。

穏やかに、まるで事件なんて何事も起こってないかのように、大人の余裕で、語ってはいるのだけれど。

…………カップの持ち手を持つ指に、妙に力が入っている事に気がついてしまった。

 

思わずそのまま目線を上に移動し、

そして、

視線がぶつかる。

ほんの数秒。

どちらも逸らす。

沈黙。

それは、確実に何かが伝わっている沈黙だった。

……小さく息を飲む音が聞こえた気がした。

 

ーーーーその夜。

あの時間のことを思い出し、心が暴風雨になる。

 

動揺でわずかに揺れる黒髪。

そこから覗く耳はほんのり赤くなっていたかもしれない。

ただ、それを、かわいい、と思った。

 

好きすぎる。ほんとに好き。

でも、そんな事言えない。

 

ハニー

“愛しい人”

 

この意味に、あなたは気がついてしまっただろうか?

この意味に気付けるあなただからこそ好きなのだけど。

あんな顔をされたら期待してしまう。

それでも、自分に出せる勇気と言えばこれぐらいで。これ以上もっと、その先に進むことなんて出来るわけがなかった。

 

少し迷った後、今日の日記にはこう書くことにした。

「あなたに気持ちが伝わりかけた。怖い。

でも、

嬉しい」

 

…………蜂蜜は不眠症にも効くという話をさっきあなたとしたばかりだけれど、こんな気持ちでは眠れそうになかった。

(完)

 

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