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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

故郷の甘い想い出

須田 均

 

郷里の佐渡の庭には、蜜蜂の巣箱が3個あった。幼い頃、刺されるのではないかと恐くて巣箱に近付けなかった。実際、刺されて泣いたことが何度かある。ところが、当時甘い物は旨い物と思っていたので、そこから採れる蜂蜜が最高の旨い物だった。

大きくなると、雀蜂が蜜蜂の巣箱の周りを飛び回り、蜜を採るため巣箱に出入りしている蜜蜂を捕まえて行くことに気付いた。それを見て、蜜蜂がかわいく感じるようになると、なぜか巣箱に近付いても平気になった。だが、蜜蜂を捕まえに来る雀蜂に刺されると死に至ることもあるので、父から充分注意するように言われていた。

雀蜂はすばやいが、蜜蜂を抱えるとその重さで動きが鈍くなる。だから、蜜蜂を抱いて連れ去ろうとする雀蜂を羽子板状の板で上から叩き落して、蜜蜂を助けていた。学校から帰るとすぐ、自宅にランドセルを置いて板を手にして雀蜂を退治していた。まだ蜜蜂を捉えていない雀蜂に、攻撃されたことがある。敵と見なされたようだ。

「学校から帰って、服着替えんかっただろ?」

「制服のままだっちゃあ」

「黒い服は巣を荒らす熊だと思うて、攻撃する習性を持っとるんだ」

父からそれを聴いたので、学校から帰ると必ず制服を着替える習慣が身に着いた。

蜂蜜の採集も手伝うようになった。父と一緒に巣箱の三角屋根を取って、蜜蝋を貼った木枠を1枚ずつ取り出し、表面を薄く削ると規則正しい六角形の巣房が現れる。それを円筒形のブリキ製タンク内に納めて手で遠心分離機を回すと、タンクの蛇口から琥珀色の蜂蜜が流れ出てくる。いつも待ち切れずに、父の目を盗んで舐めていた。

我が家の巣箱は移動させてないので、季節によって、菜の花、アカシア、チンチョウゲ、クチナシ、キンモクセイなどがそれぞれ近くで咲くと、味や色が変化していた。採れた蜂蜜は売ったりせず、多く採れると親戚や友人にあげていた。周りに蜜蜂を飼っている家もないし、養蜂家も島に来ないので、みんなにとても珍しがられた。

我が家では、料理に砂糖の代わりに蜂蜜を使うことが多かった。お正月も雑煮ではなく、角餅やお供えの丸餅に蜂蜜をかけて、お年始に来た人にも食べていただいた。

「ここの家のお正月は、とっても甘いんですねえ」

お正月に、蜂蜜をお餅にたっぷりかけて食べたのを、今でも懐かしく想い出す。

(完)

 

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