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一人で過ごすはじめての冬。母は一人暮らしをする私の健康を気遣って、マヌカハニーをプレゼントしてくれたことがあった。初めてそれを手に取った私は、MGO400+と記された見慣れないパッケージを眺めながら「マ、マヌカハニー?」と、思わず聞き返す。それもそのはず、我が家ではマヌカハニーどころか、はちみつすらも馴染みのない家庭であった。どれくらいはちみつに馴染みがないかというと、あのホットケーキにさえ、メープルシロップやはちみつをかけて食べることがないほどだ。だから、どうして急に高価なマヌカハニーを買ってきたのと尋ねてみると、母は「健康にいいって聞いたの♪」と、声を弾ませながら3つも買ってきたことを打ち明けてくれた。はちみつに馴染みのない私でも、マヌカハニーが希少なものであることはすぐに理解した。そして、それがたとえ気軽に買えるものではなかったとしても、「健康にいい」と巷で噂になれば、試してみたくなるのが世の母の実態である、ということも同時に理解した瞬間であった。
凍える冬の朝、母から伝えられた「絶対に陶器か木のスプーンで舐めてね」という言葉を思い出しながらマヌカハニーを開封。一般的なはちみつとは違って、ねっとりとしていて色が濃いのが特徴だ。これはかなりクセがありそうと思いつつ、陶器のスプーン1さじ分を恐る恐る口へ運ぶ。「あれ、意外とおいしいかも…!」鼻から抜ける華やかな香りと濃厚な味わい。喉の奥でほのかに感じるツンとした苦味。1さじだけで「カラダによさそうかも♪」と、心とカラダが喜ぶ声がした。
あれから10年が経過。母が「健康にいい」と噂を聞きつけて買ってきたマヌカハニーは我が家に欠かせない健康食品へと昇格していた。インフルエンザが流行する冬はもちろん、コロナ禍では健康管理だけでなくメンタルを支える上でも頼りになる存在であった。母が興味本位で我が家に連れてきたマヌカハニー。相変わらずホットケーキにはメープルシロップもはちみつもかけないまま食べているが、マヌカハニーだけは旅先にまで持っていくほどの必需品となった。おかげさまでこの10年間、一度も風邪を引いていない。10年つづく我が家のお守りハニー、これからも頼んだよ。
(完)
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