はちみつ家 > 蜂蜜エッセイ

ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

サイトマップ RSSフィード
〒382-0082 長野県須坂市大字須坂222-3

 

蜂蜜エッセイ応募作品

黄金の日々

Oni

 

筋トレし始めてから朝にはちみつをとっている。

眠りきれなかった目に、台所の白い光が刺さる。

それでも起きなければならない。

赤い目を擦ってさらに赤くなる。

フタをひねると、ガラスが小さく鳴る。

スプーンですくった黄金は、糸を引いて落ちる。

トーストが焦げる匂い。

熱に触れた瞬間、ゆっくり溶けて、表面が光る。

赤い目にまで染み込んでくる。

ジュワッと音を立てながら私の口に入る。

赤い目はやっと潤う。

すごいパワーだ。

涙じゃない水分が戻ってくる。

 

失恋した日も

返信欄に何も書けず閉じた日も

自分がわからなくなった日も

大切なものがないと気づいた日も

夏夜に道で泣き崩れた日も

ずっと1人だということに気づいた日も

周りの大切さに気づいた日も

花を世話する人に気づいた日も

世界が想いで満ちていることに気づいた日も

想いを言葉にできるようになった日も

仕事が決まった日も

あの黄金が私の筋肉となり、命を与えてくれる。

 

些細な言葉で傷つくくせに

正しい言葉は使えない。

また傷つけて傷つけられて。

その度に反省して、また自信過剰になって、また反省。

いつになったら大人になれるのだろう。

それでも朝は決まってやってくる。

2秒で気絶する日も、旅行先で友と過ごす永遠に夜が明けないで欲しい日も、涙ばかりで寝むれない日も時間だけは平等だ。

 

私にとっての最悪な日は誰かにとっての最も幸福な日。

私にとっての最高な夜は誰かにとっての涙の夜。

駅前のエスカレーターを行き交う人を見る度にそんなことを想像する。

今日も学校に行かなければ。

瓶の甘い匂いがまだ指に残っている。

握った手の中に、朝の光が閉じ込められている気がする。

私はその手でつり革を掴み、揺れに合わせて呼吸を整える。

 

毎朝思うのだが、あの黄金を見ると自分がいかに恵まれているかわかる。

黄金を通して見る世界は幸福な色でできている。

今日もはちみつをとる。

私の筋肉となる。

社会に出るための一歩をがっしり支えてくれる。

どんなに辛くたって平等に朝がやってくる。

せっかくなら、あの瓶を通して黄金の世界で生きてみようと思う。

電車に小気味よいリズムで揺られ

かわいいイヤホンをして

お気に入りの音楽を聴きながら

車窓を眺める。

はちみつから始まる贅沢な日々。

(完)

 

蜂蜜エッセイ一覧 =>

 

蜂蜜エッセイ

応募要項 =>

 

ニホンミツバチの蜂蜜

はちみつ家メニュー

鈴木養蜂場 はちみつ家/通販・販売サイト

Copyright (C) 2011-2026 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.