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蜂蜜エッセイ応募作品

初めての蜂の巣

岡優

 

わが家では、毎朝ヨーグルトに蜂蜜を入れて食べるのが日課だ。毎日食べるので、その消費も半端ない。7歳になる長男は、「ママ、普通のはちみつとアカシアはちみつだとアカシアはちみつの方が高いのはなぜ?美味しいから?」と聞いてくる。アカシアはちみつは高級なので、ときどきしか我が家にやってこない。「やっぱり蜂さんがアカシアの花だけから蜜を運んでくるから、作るのが大変なんじゃない?」と返しつつ、子どもは味の違いがわかるのであんまり高いはちみつばっかり欲しがるのは厄介だなぁと思っていた。

ある日、わたしの誕生日が近づいてきて、「何がほしい?」と聞かれ「いつも自分じゃ買わない美味しいもの」と答えると、長男は「ほら!あれがいいんじゃない?蜂の巣!」と興奮気味に提案してきた。それはふるさと納税の返礼品で見かけたはちみつと蜂の巣のセット。「どんな味がするんだろうね」と盛り上がった代物だった。

その話を聞きつけたわたしの姉がさっそく、デパートの高級デリカで、ミニサイズの蜂の巣を買ってきてくれた。「1番小さいのでいいの?」と聞かれたが「美味しいだろうけど、たくさんあってもね」

初めてのものは躊躇するし、ハンガリー産のアカシア蜂蜜の巣は、何より良いお値段なのだ。

プラスチックの箱に入った蜂の巣を、フォークで切り分ける。わたしと、長男と、次男の口に放り込む。甘い。そして独特の歯応え。噛めば噛むほど歯にくっついていく。

「ママ、これあんまり美味しくないね」次男はついに残りカスを口から吐き出してしまった。ちょっと、高かったのに!と思い長男の方を見やると悲しげな表情をしていた。「美味しいよ、ちょっと口に残るけど、美味しい食べ方があるはずだよ」

それからいくつかの方法を試した。いつものようにヨーグルトに混ぜて、細かく砕いて飲み物に混ぜて。あんまり結果は変わらなかった。「歯にくっつくけど体にはいいんだろうなぁ」

かつて妊婦だった時に、母が体にいいからと100g3、000円するマヌカハニーを買ってきてくれた。ひと匙、スプーンですくって舐めてみたがあんまり美味しいものではなかった。何かに混ぜようとすると母は「これはね、生のまま舐めるのが1番体にいいんだよ!」と話していたのを思い出した。ふと、少々しかない蜂の巣をトーストの上にのせて食べてみた。すると、トーストの食感と蜂の巣の歯応えが相まって、口に残ることなく「美味しいまま」喉を通り抜けていったのであった。わたしはすぐに息子たちを呼び寄せ、一緒に蜂の巣を堪能したのだ。そんなこんなであっという間になくなってしまった蜂の巣。わたしにとって蜂蜜を使った色々な製品は、そんな家族の思い出がたくさん詰まっている。これからもなにか新しい味に挑戦していきたい。

(完)

 

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