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蜂蜜エッセイ応募作品

日常の安らぎ

 

 「また感染者数が増えた」
 ここ一年、家での話題はコロナの話がほとんどだ。特に父は外に出かけたいのに出かけられないと、いつも以上にイライラすることが多かった。お家時間が長いから仕方がないが、母も私も少し引っ張られるように疲れてしまっていた。それもあって出かけられない分、美味しい物が食べたくてお取り寄せの番組を見る機会が多くなった。その中に蜂蜜の詰め合わせもあって一緒に購入してみた。瓶からスプーンで少し取り出しなめてみると、当たり前だけどいつものスーパーで買ってる物とは一味違うなと思った。なかなか高めの蜂蜜を食べる機会もそうはないので、美味しいと思わず言葉が出てしまった。最近は急用なこと以外は家ごもりをしながら、ニュースとにらめっこしていることが多い。だからか私や母にとってはそのちょっとした時間がほっとする時だった。パンや紅茶に垂らしながら、口で頬張っているとイライラしてることを少し忘れられる。美味しいと感じながら他愛もない会話をして笑う。何気ない日常が今はただ嬉しく、今日も垂らしながら頬張っている。

 

(完)

 

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