はちみつ家　>　蜂蜜エッセイ

Ｈｏｎｅｙ　Ｂｕｎｎｙ

小林 未知

　愛しのハニー。貴方は黄金色の輝きと艶を身に纏い、ねっとりと甘い香りを漂わせ、私の心をいとも簡単に虜にしましたね。貴方のおかげで私は毎朝目覚めることが出来るのです。決して過言ではありません。娘の夜泣きでどんなに睡眠不足になろうとも、冬の寒さで布団から出るのをためらう朝が来ようとも、私は貴方に会いたくて重い身体を起こすのです。それからのっそりとキッチンへ行き、昨今流行りの高級食パンを厚めにカット。さらには縦横の格子状に切り込みを入れてトースターで焼く。決して焼き過ぎは禁物。薄茶色に色付いたトーストにバターをたっぷりと溶かし塗る。そして、ここでついに貴方様のお出ましです。木のスプーンで優しく貴方を掬い上げると、溶けかけのバターが踊るトーストの上にまんべんなく垂らしかける。芳ばしいパンの香りにサクっモチっとした食感、バターの塩気とコクの上に貴方が両者をとろーりと優しい甘さで包み込む。これ以上に最高な絡み合いがあるでしょうか？まさにパンとバターと貴方の三者が口の中で幸福の舞を踊っているかのよう。この瞬間、私の眠気や疲れが一気に消え去るのです。そして私は贅沢にも貴方を少し温めたヨーグルトの上にも垂らしかけ、シナモンパウダーを忘れずに振り振り。たくさんの果物たちも誘って一緒に口の中へ。ヨーグルトはオリゴ糖が含まれる貴方と一緒に摂ると効果がＵＰするんだとか。付け合わせには潰した半熟卵にマヨネーズと塩とブラックペッパーで味を調えた卵サラダを。この子たちのおかげで、今日も私の心と身体は健康に保たれているのです。お通じも良くお肌の調子も良好。ありがとう、朝食。ありがとう、愛しのハニー。あぁ、私も夫にそんな風に言われたい。Ｈｏｎｅｙ　Ｂｕｎｎｙ。

（完）