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蜂蜜の性状を変える（十一）

渡辺　碧水

　【蜂蜜の性状を変える（十）から続く】
　九、蜂蜜の液状をパフ状に変える技術
　蜂蜜は、通常、液体状のため、そのままでは食べづらく、パン等にかけるといったトッピング用途や、何かに混ぜて使用される。
　一方、加熱後に真空濃縮して固形状にした蜂蜜も知られているが、ハードキャンディーのため、かたく、サクサクした食感のものではない。
　この課題を解決するために検討した結果、蜂蜜と粉末とを混合したものを減圧乾燥することで、蜂蜜特有の風味と口溶けのよさを併せ持ち、適度な固さを保つことで壊れづらく、サクサクとした軽い食感をもつパフ状蜂蜜を製造した。
　パフ状とは、中に空気が入るなどして、軽く膨らんだ状態にあるもののことである。
　本技術による製造方法は、煩雑な工程がなく、重曹等の膨化剤なしで簡便にパフ状蜂蜜を造ることができる。さらに、高温で処理しないため、風味や栄養素が失われづらい。
　また、膨化させるため、得られるパフ状蜂蜜は丸みを帯びた形状で、見た目にも優れた新たな形状の蜂蜜を提供できる。
　蜂蜜と粉末の混合物は、水分含量九 ・五～十二 ・〇重量％であればよい。（詳細略）
　この混合物を成型し、減圧乾燥によって膨化させることを特徴とする。
（技術：パフ状はちみつの製造方法。出願人：池田食研株式会社。発明者：大隅賢。公開日：二〇一七年一月二十六日。公開番号：二〇一七－〇一八〇六六号）
　参考として、最近の固形状のものを一例挙げる。扇雀飴本舗は、特許技術「天然液状物の固型化物及びその製造方法」（発明者：横山文一。公開日：一九九八年十二月八日。公開番号：ＷＯ一九九八－〇〇三〇七四号）を公開公報している。
　これによると、特殊製法で蜂蜜だけを固めた製品ができ、「はちみつ一〇〇%キャンデー」の発売につながっている。従来の固形化蜂蜜は、水分含有量が比較的高いため、柔らかく、簡単に変形し、歯にくっつきやすいなどの問題があったが、これは固くて変形せず、歯にくっつきづらい。
　【蜂蜜の性状を変える（十一）へ続く】

（完）