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蜂蜜エッセイ応募作品

とくべつなハチミツ

小椋かおる

 

 今にして思えば、私にとって蜂蜜とは特別なものだったように思う。
 誰に言われたわけでもないし、何かを読んでそう思ったわけでなかったのだけど、蜂蜜という言葉の響きが特別だと思ったのかもしれない。砂糖の甘みも嫌いなわけではないが、蜂蜜の甘みがとりわけ好きだった。
 おぼろげな記憶だが確か10代の半ばをすぎた頃に、蜂蜜というのが一種類ではないことを知った。花の種類で味も香りも変わり、また蜂の種類によっても味わいが変わると知った時は目の覚める思いがしたものだ。不思議なことに蜂蜜とは一種類しかないと、その時まで思い込んでいた。
 柑橘の香りがさわやかなもの、花の香りがふわりと残るもの、舌先ですっと消えるものがあれば、はたまた甘みがずっと残るようなものもある。まさに千差万別。それを知ろうとしていなかった自分にあの時は本当に驚いたものだった。
 栄養価も高いということで、忙しくて食事がなかなかとれない時などは固形蜂蜜を食べることもあった。甘みが脳にぐわっとダイレクトにくる感覚はそれはそれで面白い。ああ、脳に食事を与えているな、などと他人事のように思う。
 今は眠る前にハーブティーに蜂蜜を一たらし落として飲むのが好きだ。やさしい香りとあたたかい湯気の中に甘みがふわっとお腹の中から体中に染み込んでいくのを感じながら、布団に入ってゆっくりと眠りにつく。なんとなく、あたたかい気持ちになりながら。
 私にとっての蜂蜜は、ちょっと特別なのだ。

 

(完)

 

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