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蜂蜜エッセイ応募作品

健康の名脇役

青沼詩郎

 

 毎朝、蜂蜜を舐めている。ティースプーンの先端に、こんもりとすくって舐める。スプーンは、木製かプラスチック製の、やや弾力のあるものがいい。粘度の高い蜂蜜を、舌で締め付けるように舐めとるときに、硬すぎるスプーンでは口の中が痛いのだ。
 
 蜂蜜は、濁りが入っていて、ずっしりとした質感のものが好みだ。いっとき、高価なマヌカハニーに凝ったことがあった。私は歌うことを日課にしているので、喉の調子をいつも気にしている。声がかすれてしまったときに、抗菌効果の認められている高価なマヌカハニーを舐めたら治った、というあるシンガーの経験談を聞いたことから、マヌカハニーを家の棚に常備していた。
 
 高価なマヌカハニーは、もったいなくて気軽に手が伸びない。歌唱の本番が近いのに、喉が痛いとか、風邪を引いてしまったとか、そういう「ここぞ」というときにだけ摂るようにしていた。
 
 大事に少しずつ舐めていたマヌカハニーも、だんだんと減っていく。少なくなって、容器の底に残ったマヌカハニーを、使い切る勇気がなかった。居酒屋の卓上で、唐揚げが大皿に一個だけ残る現象に似ている。神棚のお供え物みたいに、手がつけられないでいたマヌカハニーの容器の蓋には、うっすらとほこりが乗った。
 
 そんな経験があって、私はマヌカハニーを引退することにした。今は、積極的に摂っても惜しくない値段の蜂蜜を選んで、毎朝舐めている。そのおかげか知らないが、前よりも風邪をひきにくくなったと思う。ひいたとしても、重症化を免れている気がする。蜂蜜を摂らなかったときの自分と、比べて確かめる術はないけれど。
 
 蜂蜜の鎮咳効果は、高価なものでなくとも望めるという。自分にとって手頃なものを、ライフスタイルに添えてやればいい。きっと、名脇役を演じてくれる。

 

(完)

 

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