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蜂蜜エッセイ応募作品

はちみつのど飴

渡辺 碧水

 

 札幌市の中心部、地下鉄「西十一丁目駅」の近くに「札幌新生教会」というキリスト教会がある。そばを通ると、建物の壁下部に「からし種一粒ほどの信仰」と彫り込まれた文字が目に入る。
 調べてみると、新約聖書の聖句で、「ルカによる福音書」十七節にこの言葉があった。最も小さい物のたとえとしてあげられたようである。からし種一粒の大きさは〇 ・五ミリ程度だそうだ。
 聖書の別のところには「……畑に蒔けば、……成長するとどの野菜よりも大きくなり、空の鳥が来て枝に巣を作るほどの木になる」とある。
 十三年前、六十八歳で退職した時、健康維持の一つとして、毎日散歩をすることにした。散歩の間、のどを潤すためにのど飴をいくつか衣服のポケットに入れて出かけることにした。
 その時に頭に浮かんだのが「からし種一粒ほど」の言葉だった。同時に「ひまわり蜂蜜のど飴」も浮かんだ。
 この飴は、「ひまわりの里」として知られる北海道雨竜郡北竜町のひまわり蜂蜜を原料としている。蜂蜜の香りとコクがあり、ハッカの爽快な味覚もする。
 北竜町は私の郷里。愛着が高じて筆名にも生まれ育った地域の字名 ・碧水を採用している。
 私が思い付いたのは、故郷の小さな町への「からし種一粒ほどの恩返し」だった。一日ニ、三粒でも日を重ねれば結構な量になる。ことわざ「チリも積もれば山となる」を思い浮かべて、売っている店を探して購入先を確保。
 善は急げと退職した次の日、人生の再出発日の四月一日から始めた。
 私には癖がある。まずはできそうな小さな目標を立て、知恵を絞り出しながら可能な限りの努力をする。それを達成したら、またそれを糧にして次の目標に挑戦する。達成できないときは、きっぱりやめる。
 最初の目標は、「ひまわり蜂蜜のど飴」をポケットに、遠い昔の田舎の田園風景を思い浮かべながら、一年間毎日出かけて、家の周辺を小一時間、「散歩」と称して歩き回ることだった。

 

(完)

 

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