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蜂蜜エッセイ応募作品

「ハイ、ハニー」

ほそマッチョ

 

 三〇年前の思い出がよみがえる。夏休みを利用して、「短期語学研修」の引率を頼まれた。参加者は、九州一円から応募した十二人。驚いたことに、男子はただ一人(慶大 ・仮名)。しかも、中学一年生である。
 「彼、大丈夫だろうか……」。
 授業が始まるや、その不安と心配が的中してしまった。
 ”Hi,Keita、how are you?"
 「ハイ ケイタ ハウ アー ユー」
 ”No No I ask you"
 「ノー ノー アイ アスク ユー」
 つまり、彼は、先生の質問に「応える」のではなく、同じ言葉を「オウム返し」するだけである。これには、先生もお手上げ。仲間の上級生たちが、基本的な返事の仕方を教えて、初日を終えた。
 3日目には珍事がおきた。先生が前日と同じように慶大に語りかけたところ、
 「ハイ、ハニー」と返事をしたのだ。
 先生、目を大きく見開き、手を叩いて、大笑い。
 くわしいことを尋ねると、ホームステイ先では、たびたび、「ハイ、ハニー」
と言っていたから覚えた、とのこと。彼にとっては、アメリカではじめて覚えた記念すべき「英会話」となった。
 先生が「夫婦間や恋人同士の愛称だよ」と説明されたが、くだんの慶大は、雲をつかむようにきょとんとしている。
 一人の生徒ばかりに時間を割いてはいられない。仲間たちは、辛抱しながら、実りある2週間の研修をやりとげ、最終日には一人ひとりに「修了証」が授与された。
 最後に呼ばれたのが、慶大だった。ホストファミリーも大勢参加しているなかで、先生は、慶大に本物の「Honey」をプレゼントされた。「なぜ蜂蜜なのか」を、先生は楽しそうに話された。先生の粋なはからいに、会場は笑顔と拍手と甘い香りに包まれていた。

 

(完)

 

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