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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

あの味、何?

にわままこ

 

 「ママ、棒からぷちゅーっと出して、トロトロしてるの食べたい」
 3歳になったばかりの娘からの突然のリクエスト。ジャム?違う。ゼリー?違う。飴?違う。バターか!?ちがう、ちがう!もしかしてチョコ?ちーがーうー!!
 こんなやり取りを娘と何回も繰り返した後、娘は伝わらないもどかしさに泣き出した。
 どうしよう、全然分からない。目の前には怒り泣く娘。こうなると厄介だ。「いつ食べたもの?」「家にあるもの?」と確認するも、怒り泣く3歳児には聞こえない。きっと名前が分からないのだ。何か、何かヒントをくれー!すると、娘から最大のヒントが来た。
 「浜松のじーじが食べてた。ちょっと貰った。」
 浜松のじーじとは私の父の事だ。3ヶ月程前に1週間実家に帰省していた。その時の事か?
 そういえば、ある日の夕食の後、父が突然トーストを焼き出したことがあった。焼き上がったトーストにバターを塗って、その上に何かをかけていた。そうだ、スティックタイプの包装に入れられたハチミツだ。娘はスティックの先からとろーりと落ちたハチミツに釘付けになっていた。その娘の目の前でサクッサクッと美味しそうな音を立てながら食べ出した父。当然、娘は「ちょうだい!!」とトーストの三分の一程を貰っていた。娘にとって初めて食べるハチミツの味。甘い!美味しい!と大興奮。浜松で2~3回食べただけのハチミツの美味しさが私の想像以上に娘の心と舌に残っていたようだ。
 「分かった!ハチミツでしょ?」と娘に問うと、「ハチミツ……、そう、それ!!食べたいー!!」と大正解だったようだ。やった!しかし、時間は夜の8時を回っていた。家にはない。結局、もう一度、娘は大泣きすることとなった。

 

(完)

 

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