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蜂蜜エッセイ応募作品

ハチミツカレー

斎藤秋

 

 あれは小学生ぐらい頃だっただろうか。
 私はカレーにハチミツをかけて食べることに夢中になってしまったことがある。当時、辛いカレーはどうも苦手であり、カレーにハチミツを入れることによって甘くなることに感動したのかもしれない。
 近頃では、カレーにはソースをかけて味をかけて味を変えている。
 ふと、甘いカレーを食べてみたくなり甘口カレーを店で食べてみることにした。たしかに甘口であるけれども、どうも記憶にある味とは違うのである。もっと甘いカレーを食べていたような気がするのである。
 そこで小学生ぐらいの頃にはカレーにハチミツをかけて食べていた事を思い出したのである。
 今では辛いカレーを平然と食べているが、あの甘いハチミツカレーをたまには食べてみようと思う。
 ハチミツは不思議だ。
 あれほど辛いカレーさえも甘くしてしまうのだから。
 そういえば瓶入りハチミツがどうしても欲しかった事も記憶に残っている。チューブに入っているハチミツを使っていたからだ。 特に、蜂入りの瓶入りハチミツをかけて食べてみたかったのである。
 理由はどうも思い出せない。
 ハチミツの琥珀色の中に蜂が居ることによって、まさに本物の琥珀のように美しく見えたのかもしれない。
 記憶の中にあるハチミツカレー。
 あれをもう一度食べてみたいと思う。きっと記憶の中で美化されているのかもしれないが、味覚の変化として諦めるしかないだろう。
 その事に、どこか寂しさを覚えてしまう自分もいる。
 だが、それもしょうがないことだろう。ハチミツが過去が過ぎ去ってしまった事を教えてくれるのだから。

 

(了)

 

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