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蜂蜜エッセイ応募作品

思いやりの蜂蜜レモン

2匹の母さん

 

 以前、勤めた職場では新人、上司問わずに職員へのお茶出しや職場内の掃除当番があった。これは社長が初心を忘れずに、謙虚な気持ちを大切にするというモットーから決められたことだ。高卒で入った一番年下の私には戸惑いがあったが、お茶を出されるときに一言二言話す機会が増えすぐに職場に打ち解けることができた。十人ほどの小さな会社のため専務にはブラックコーヒー、部長には緑茶など好みも覚えた。職場にもなれ、1人で仕事を任されるようになった頃、疲れがたまっていたのか風邪を長引かせてしまった。なかなか収まらない咳、耳障りになっていないか不安でのど飴やこまめに水分を取っていた。それは、3時のお茶の時間の事、その日は、男性上司がお茶当番の日だった。コーヒーが飲めない私にいつも緑茶を出してくれるのだが、マグカップにはほんのりとレモンの香りのする温かい飲み物が入っていた。上司に聞くと、蜂蜜レモンだと言う。初めて口にした飲み物だったが、レモンのさわやかな香りと蜂蜜の優しい自然の甘さを感じ、喉のイガイガとした感じが少し収まった気がした。上司の家では子供達が風邪を引くと奥さんが作って飲ませるそうだ、蜂蜜には炎症を抑える作用があるらしく、レモンは体調を回復させるビタミンが摂れる。家族のように私を想う優しさに感動し、実家を離れ一人暮らしをしていた私を勇気付けた。冬になると何人かの職員が風邪を引くのだが、風邪を引いた職員には温かい蜂蜜レモンを出すのがいつの間にか定番になっていた。その後、結婚、夫の転勤を期に職場を退職したが、今でも上司の優しさとあの時の蜂蜜レモンの味を思い出す。今、私には子供が2人いる。年子のため1人が風邪を引くともう1人に移ってしまうのが悩みだが、子供達は兄弟が風邪を引くと親に言われなくても冷蔵庫に常備された蜂蜜レモンを作ってくれるようになった。あの上司のように思いやりのある子に育つ事を願っている。

 

(完)

 

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