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ひと匙の蜂蜜シナモン療法

maiko

 

 最近眠る前に、ひと匙の蜂蜜と、そこにシナモンを少々加えたものを食べている。
 そうすると朝の調子が良いような気がして、最近のマイブームなのだ。

 現在私は35歳で、乳がんを患っており、進みに進んでなんとステージ4だ。
 ちょうど胸に違和感があったのは2年前の今頃だったことを覚えている。
 少し様子を見て、やはりどうしても気になったので勇気を出して病院に行き、あやしい影があるということで詳しく調べてもらったら……というわけである。
 余命の話をされた時はこれまでにないくらいショックを受けたが、私以上に悲しんでくれたのは父親であった。私は独身なので、乳がんの宣告を受けた日からずっと、病院に行く時はいつも付き添いに来てくれる。大変だから来なくて良いよ、と言っても何が何でもついてきてくれる。私のことを頑固な奴と父は言うけど、この人に似たんだと思う。

 そんな父が、いつかの病院の付き添いの時、シナモンを差し出してきた。
 「蜂蜜と一緒に食べると良いよ」と。
 何かと思って詳細を聞いてみると、免疫力が上がるし、ほとんどの病気に効果があって、これで癌が完治した人もいる、らしい。
 父はへビースモーカーで、健康的とは言い難いのだが、私のために色々と調べてくれたのだな…と、危うく涙が出そうになったが、グッと堪えた。
 多分、私が病気にならなかったら得なかった知識だろう。そう思うと感慨深い。
 スプーン一杯にシナモンをかけてそのまま食べることを教えてくれた。
 (シナモンはセイロン産が良いらしいが、ここでは割愛する。)

 治療を受けた後、数日怠さが続いた。朝は立てないくらい酷い日もあった。処方された薬は白血球の値を下げる副作用がある。
 そんな時、ふと父親の蜂蜜シナモンを思い出す。これまで免疫力を上げるサプリメントは沢山試してきたが、いまいち効果がわからなかった。だけど、藁をもすがる思いで、ひと匙の蜂蜜にシナモンを乗せたものを口にし、そのまま眠りについてみた。
 すると翌朝、目まぐるしさや怠さ、疲労感がなく、こんな朝は久しぶりだった。いやいやでもたまたまかもと思い、次の日もまた次の日も試してみたら、変わらず調子のいい朝を迎えたのだ。ひと匙の蜂蜜シナモンの効果に驚きを隠せなかった。

 私にとって蜂蜜シナモンは"父の味"となった。
 美味しくて、優しくて、心にも効く。愛情の治療法だ。

 

(完)

 

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