はちみつ家 > 蜂蜜エッセイ

ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

サイトマップ RSSフィード
〒382-0082 長野県須坂市大字須坂222-3

 

蜂蜜エッセイ応募作品

母の気管支炎

村山英明

 

 冬に入り85歳の母親がゴホゴホと咳をしだした。熱はないが一度咳がでると止まらない。かなり苦しそうだ。コロナ?自分でも心配になったのだろう。翌日すぐに病院で診てもらったらただの風邪との診断。しばらく安静にしてれば治ると薬をもらって来た。ところが一週間経っても一向に良くならない。それどころか酷くなるばかり。喉が痛くて食事も通らない。日に日に衰弱していく様子だ。食べないとダメ、お粥やうどんや茶碗蒸しを作り少しずつでも食べてもらった。そして病院にも付き添った。いろんな検査をして診断されたのは気管支炎、肺炎の手前だったようだ。別の薬を処方してもらい自宅療養を続けた。少しずつ喉の痛みは癒え始めたようだがまだ夜中に咳込むとしばらくは止まらない日が続いた。寝たままの生活をつづけたせいで急に足も衰えた。歩くとふらつくと言う。おまけに激しく咳込んだせいで首まで痛めた。食事も以前までは毎日三度三度食べてたのに寝室に持って行ってもほんの少ししか口にしない。少しでも栄養をとってもらわないと益々衰えてしまう。半年前に父が亡くなった。生きる気力を奮い立たせる何かが必要だろう。正月、毎年我が家に兄弟家族が集まり新年のお祝いをするが、喪中のため集まりはしないことになった。「お母さん、孫たちのお年玉は用意するよね?」集まりはないがそれぞれの家族に年明けに仏壇参りに来てってラインした。兄家族は二日、三男の家族は三日、正月も仕事がある四男は六日に来ることになった。母にこの日は誰々が来るよとカレンダーに印をつけた。お年玉ちゃんと渡せるよう元気になって欲しい。ふとお歳暮でもらった蜂蜜があるのを見つけた。蜂蜜は体にいいと聞いていた。きっと喉にもいいはずだ。ヨーグルトを買ってきて毎朝それに蜂蜜を混ぜて食べてもらった。どう?と聞くと美味しいと言って食べてくれた。それを毎朝続けた。長野に住む姪っ子から生まれたばかりの母にとってのひ孫の写真を何枚も送ってもらった。一度にプリントせず分けて今日はこんな写真が届いたよ。朝のヨーグルトと一緒に母に渡した。それが良かったどうかわからないが咳は止まったようだ。年が明けて孫たちが次々とやって来た。用意していたお年玉を一人一人にちゃんと渡せるようになるまで元気になった。まだまだ寒い日が続いている。山菜採りが好きな母親。春が待ち遠しい。我が家の蜂蜜入りヨーグルトは今も続いている。

 

(完)

 

蜂蜜エッセイ一覧 =>

 

蜂蜜エッセイ

応募要項 =>

 

ニホンミツバチの蜂蜜

はちみつ家メニュー

鈴木養蜂場 はちみつ家/通販・販売サイト

Copyright (C) 2011-2024 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.