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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜のある朝食

宮崎善行

 

 年が明けて2023年1月。年末年始の休みボケはさすがにもう抜けたが、こうも寒いと朝起きるのもつらい。なんとかベッドを抜け出してリビングに向かい、先に起きていた妻におはようと声をかけてテレビをつける。朝のニュース番組が、国内初の新型コロナ陽性患者が確認されてから3年が経過したニュースを伝えている。
 「もう3年も経つのか。」
 ついこの間の出来事のように感じるが、一方でコロナ禍前の生活がどのようなものだったか記憶をたぐり寄せるのに少し時間がかかってしまうくらいには昔のことにも感じる。
 ニュースが変わり天気予報のコーナーになると、来週はここ10年で一番の寒波が来るという予報だ。大物寒波の到来を待つまでもなくすでに真冬の寒さで、戸棚に保管している蜂蜜はカチカチに固まってしまっている。食卓でそんなカチカチの蜂蜜をスプーンで掻き出している妻が目に入り、コーヒーでも淹れようかとソファから腰を上げた。

 それにしてもこの3年でずいぶん生活が変わったな。コーヒーを淹れながら、コロナ禍前の生活を思い出してみる。結婚してから妻も私も仕事に忙しく、朝は時間ギリギリまで寝て、朝食も適当に済ませて出社することがほとんどだった。しかし、コロナ禍で在宅勤務になったことでそんな生活が一変した。朝の時間に余裕ができ、妻とも時間を合わせ毎日一緒に朝食をとるようになった。朝食のメニューにもこだわり、蜂蜜も初めて購入し蜂蜜を使ったメニューも多く作るようになった。バターと蜂蜜をかけたホットケーキに、りんごのスライスと蜂蜜をのせたトーストなどレパートリーも増え、今日も妻は何か蜂蜜を使ったレシピを作ってくれているようだ。

 2人分のコーヒーを持って食卓につくと、妻が薄くクリームチーズを塗った食パンの上に蜂蜜を塗り広げていた。蜂蜜を塗り終わった食パンをトースターで焼き上げ、いただきますと一緒に食べる。
 一口トーストをかじると、口の中にじんわり広がる蜂蜜の風味。トースターで焼いたことで、あたたかくまろやかな甘味になり、寝起きの体にも優しい味でパクパクと食べることができる。
 「蜂蜜かけすぎたかと思ったけどちょうどよかったね。おいしいね。」「そうだね。クリームチーズともよく合うね。」
 一緒に朝食を準備して、些細な会話をしながら一緒に食べる。これまでの3年間だけでなく、これからも1年1年このような生活を積み重ねていきたい。そんなことを考えていたら、ふと食卓の上の蜂蜜のチューブが残り少ないのに気がついた。後で買い物リストに蜂蜜を書き足しておこう。

 

(完)

 

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