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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

雪の美酒

琥珀

 

 ポーランドでのホストファミリーをしてくれた家族が養蜂家をしていました。
 私が滞在していたのはミツバチが大量死するニュースが報じられ『蜜蜂の大地』が公開されるなどしていた時期です。もっともステイではその話が出ることはありませんでした。少なくともこの時点では大丈夫だったものと思われます。
 一家は両親とシスターをしているお姉さんに妹さん、妹さんの旦那さんでさらに友達も暖かく日本からの迎えてくれました。
 お父さんは「妻はアウシュビッツ(オフィシエンティム)に入れられた。」と話していました。アウシュビッツはドイツ語でポーランド語ではオフィシエンティムという名前で現在のポーランド圏内にあります。ユダヤ人というわけではなく送られてしまったそうです。歴史で習ったことが身近に感じました。
 親切にもてなしてもらい、しみいるようにありがたい滞在でしたポーランドはキリスト教以前からサルマティア地方の、旅人を厚くもてなすという風習があると旅行者用の観光ガイドブックにも書いてあったことが頭によぎりました。
 出発の日に養蜂家のお父さんから大きな袋に入った蜂蜜製品をもらいました。その中にほかの蜂蜜グッズと共に蜂蜜酒が入っていました。
 ポーランドは気温が低く雪深い国です。次の都市に向かうために列車から駅に降りた時、雪が猛烈な勢いで降り注いでいました。しっかりと日本で買い込んだ服装で雪の中を進みホテルの暖かな部屋にたどり着きました。
 私はアルコールに弱くすぐ酔ってしまうため大学の飲み会に出たとしてもノンアルコールしか飲みませんでした。でも全く受け付けないわけではないのでホテルでのんびりした折、せっかくだからと蜂蜜酒を飲んでみました。
 まろやかな甘みが口に広がりました。しっかりと厚めのガラス瓶に入ったふんわりとした香りの液体。
 不思議なことにこの酒は酔う気配はありませんでした。気持ちよくなっていたかもしれませんがいつもアルコール類を飲んだ時の感じるめまい、頭痛やふらつきが起こらなかったのです。
 のちに日本に帰ってまた買いたいと思い調べましたが西日本のお店が輸入しているらしいことぐらいしかわかりませんでした。
 それはもうすでに十年近くもたっているというのに私の心の中での不思議な美酒として記憶の中で魅力的に輝いているのです。

 

(完)

 

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