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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜とナッツ

武田サラダ

 

 会社の同僚にエリさんという8つ年上の女性がいる。
 エリさんは事あるごとにパソコンの操作を教えてくれたお礼だの、お祝いだのといってランチをご馳走してくれたりする先輩だ。そして誕生日には「何か欲しいものない?」と必ず覚えていてくれる。なんだかこれが欲しいというのも申し訳なくて、「気を使わないでくださいよ」と毎年答えてしまうのだが、ある年御用達の百貨店で見つけたという「蜂蜜ナッツ」をプレゼントしてくれた。
 蜂蜜にアーモンドやクルミが付け込まれた、ほんのり甘味のある贅沢なおやつ。チーズにちょっとつけて、ワインのお供にすれば、今日も一日がんばったねと、ご褒美をもらえたような幸せな気持ちになった。両親にもどうぞとおすそ分けをしたら、至極気にいったようだった。
 次の年、「誕生日だね、何が欲しい?」と聞かれたので、「あの蜂蜜はおいしかったです!」と答えた。すると、あの蜂蜜ナッツをプレゼントしてくれた。大好きなものは最後においておく性質の私は、しばらく台所に置いておいた。
 ある日そろそろ食べようかと瓶を見た。な、な、ない!!ほとんどない!!!瓶の底にへばりついている数粒のナッツとわずかに残る蜂蜜・・・。振り返ると、てへっという顔をしている母がいるではないか。なんということだ、ここは熊の巣だったのか。
 ある日、何かのお礼に三度目の蜂蜜ナッツを頂いた。今度は「食べてもいいから半分は残しておいて」と瓶に注がれる視線にお願いしておいた。
 反省した熊は、はたと自分で作ることを思いついたようだった。次の日、小さな瓶の横に、三倍くらいの高さの瓶がおいてあった。どうするのか?と見ていたら、スーパーで購入したナッツ数種と安価の蜂蜜を、ドボドボとその巨大な瓶に注ぎ込み始めた。蜂蜜は安価といえども高額な部類なので、さほど購入しなかったらしく、『ナッツの蜂蜜和え』くらいの仕上がりだ。それでも熊は「これで心置きなく食べれる!」と満足げだった。
 あれから。夜な夜な瓶にスプーンを突っ込み、したり顔で食べる母を目撃する。私の小瓶は全く減らない。少しくらい食べてもいいのにと思うが、「これで十分よ」という母には、自分のものである大瓶に勝る味はないのかもしれない。
 いつか養蜂場でとれたこだわりのおいしい蜂蜜と、ナッツをたっぷりプレゼントしてあげよう、と思う。

 

(完)

 

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