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蜂蜜エッセイ応募作品

はちみつ

鈴村 椿

 

 はちみつ専門店の棚に律儀に並べられた丸い小瓶の数々。小瓶の中にこれまた律儀に詰め込まれた豊な色彩のはちみつたち。23歳にして初めてはちみつ専門店の門を叩いた私は、まずその豊かな色彩に圧倒された。スーパーで陳列されているはちみつは、透明な焦げ茶が窮屈そうにプラスチックケースに収まっていた。私の知見から大きく外れた専門店のはちみつを見た時、目の前のはちみつたちの輝きに比例するように私の心も輝いたのをよく覚えている。
 専門店の店員さんから丁寧な解説を受けるうち、豊かな色彩の数々は品種の違いから生まれているということを知った。ひまわりのはちみつやコーヒーのはちみつ、そばのはちみつ。様々なはちみつは色だけでなくもちろん味や風味も全く異なり、また、解説によると用途もそれぞれにあったものがあるようだった。私は日ごろからヨーグルトをよく食べているので、ヨーグルトに合う、ひまわりのはちみつを購入した。きらきらと輝く小瓶を手にレジへ向かうときは、童心に帰った。新しいおもちゃを手に、レジに向かうときはこんな気持ちだったなあと、頭の片隅でふわりと懐古した。
 帰宅し、小さなスプーンを使って丸い小瓶からはちみつを掬う。透明な黄金は小さなスプーンを包み込み、ゆったりとスプーンの淵を伝って深い黄金の中に沈んでいく。その美しい光景に心を癒され、私は無意味にその行為を繰り返した。その刹那、衝動を抑えられず、黄金のベールを被ったスプーンを口に放り込む。しっとりとした甘さが舌を包み込み、口内で柔らかくほどかれていくはちみつは、私の脳に直接甘さを届けているかのようだった。のどを通る最後の瞬間まで、その甘美な時間は続いた。その後はヨーグルトに混ぜたり、トーストにかけたりしてはちみつを楽しんだが、どの食べ方でもはちみつはすぐに主役の座を奪っていった。
 以上、これが筆者のはちみつとの出会いである。そして今日も、冷蔵庫に眠る数々の丸い小瓶から甘美な栄養を補給しているのであった。

 

(完)

 

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