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蜂蜜エッセイ応募作品

ポッカポカのハニーミルク

塚野 安枝

 

 約30年前、私はニュージーランドの北島の都市オークランドから郊外へバスで約50分ほど離れたランギトトカレッジという公立学校へ日本語アシスタント教師として派遣された。都市での一か月研修を終えると、学校近くでホームステイすることになり、ホストマザー、そして、8歳、12歳の二人の子供達が私のホームステイファミリーとなった。
 大学を卒業して日本を長期離れるのは初めてのことだったのに加えて、現地の人の家庭に長期お世話になるのも初めてのことで、最初はかなり気疲れしてしまったことを覚えている。
 特に慣れなかったのが朝ご飯。薄いトーストにマーマイトを塗って食べることがこの家庭の習慣だった。塩味が強く、独特の臭いがするマーマイトは、日本の納豆のような存在で、ニュージーランドの国民食と言ってもいいほど有名な発酵食品だ。
 初日、弟のディヴィッドはマーマイトをたっぷり塗って私にカリカリッとおいしそうに食べて見せた。私も一口食べて一瞬その苦さにとまどってしまったが、正直な気持ちを言葉にすると失礼になると思い「Delicious !」と言って食べて見せるとデイヴィッドは喜んでくれた。
 そして、滞在3か月目を迎えたある日、私は風邪をこじらせ体調を崩した。病気の不安と“ホームシック”が加わった心細い心境。一人ベッドに横になり、まぶたを閉じると、日本の家族や友人の顔が次々に浮かんできた。その時だった。ホストマザーがはちみつをたっぷり入れたハニーミルクを持ってきてくれた。温かいミルクに甘いハニーがよく溶けこんで冷え込んだ体を芯から温めてくれた。その時、初めて「マヌカハニー」のことを知った。「Make yourself at home !」ホストマザーが常に言っていた言葉が私の中にハニーミルクと共にすーっと染み込んでゆくのがわかった。さっきまでの冷え込んだ心と体がポッカポカになったことを今でもよく覚えている。
 それから、私はホストファミリーに少しずつ自分の気持ちを正直に言えるようになった。一緒に暮らしている家族の一員として、温かく迎えてくれたニュージーランドの家族。それは、この「マヌカハニー」をたっぷり入れたハニーミルクのおかげかもしれない。
 今でも、そのマヌカハニーのパワーを受け継いでおり、冬になると体調を崩しやすい7歳の娘へ、最近眠りが浅くなって仕事の疲れがたまりやすい夫へ、そして、仕事でしゃべることが多い私へ、家族皆それぞれマヌカハニーの恩恵を受けている。

 

(完)

 

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