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蜂蜜エッセイ応募作品

マヌカハニーの効用

齋藤遥奈

 

 高校一年生からハタチまで、私の顔はニキビだらけだった。いくつあるのか数えることもできないほどで、そのせいか顔が全体的に赤く腫れていた。生活習慣の注意から、高級な化粧品や皮膚科の薬、保険適用外の治療など、ありとあらゆることを試してもあまり効果はなかった。同年代の女の子達が、私と比べたら全く特別なことはしていないのに艶やかで綺麗な肌をしているのが、羨ましかった。不治の病に罹った気分だった。
 高校を卒業して社会人になったある時、祖母からマヌカハニーが数瓶送られてきた。蜂蜜は栄養成分が豊富で健康にも美容にも良いのだ、と。あれこれ試してもダメだった私は、藁にも縋る思いより、どうせ大した効果はないだろうと諦めの気持ちの方が大きかった。おまけに当時の私は、それが蜂蜜の美味しさではないか、と言われるような、花の自然な香りや風味、濃密なコクが苦手だった。だが、調べてみるとマヌカハニーは申し訳なくなるくらい高級な品だと分かり、祖母に感想を伝える必要もあるので、仕方がなくトライすることにした。
 いざ口にしてみると、マヌカハニーはこれまでの蜂蜜とは違って意外にも美味しく食べることができた。と、言いたいところなのだが、マヌカハニーはこれまで食べたことのある蜂蜜よりも遥かに濃厚で、クセが強く感じた。思わずむせびそうなほどの甘味に、これを数瓶分食べ切ることが出来るのか心配になった。そこでまず、直に舐めたりパンに塗ったりする方法ではなく、ヨーグルトや紅茶に混ぜて食べることにした。毎日会社から帰宅後、夕飯までのおやつに食べているとだんだん慣れてきて、二瓶目に入る頃、そっと一舐めしてみたら、あれ、おいしい。おいしいじゃないか、となってからはくまのプーさんのように、そのまま何にも付けたりまぜたりせずに食べられるようになった。
 肌の方はと言うと見違えるほど綺麗になり、私の心も晴れやかにさせた。だが、マヌカハニーだけのお陰なのかは不確かだ。マヌカハニーの摂取時期と、思春期のホルモンバランスが不安定な時期を越えるのが、ちょうど同じ頃合いだったのかもしれない。マヌカハニーが無関係だとしたら少し寂しいので、きっと相乗効果をもたらしたのだと思いたい。確かなのは、これを機に蜂蜜が私の好物に仲間入りしたことだ。今、自宅には様々な種類の蜂蜜が常備されている。蜂蜜は、成分による効能だけでなく、蜂蜜との思い出という効用も合わさり、私たちの心身を健やかにしてくれている。

 

(完)

 

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