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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

ミツバチのプロポリス

貴田雄介

 

 妻の勧めに従ってプロポリスを飲むようになった。喉が痛い時に、口の中にお白湯とプロポリス数滴を含み、うがいをする要領でガラガラと喉を鳴らす。舌にシュワシュワする感じがすると共に、喉の炎症部にチクチクと刺激がある。
 数日後、話をしたり、食事をしたりしても喉の痛みを感じなくなっている。喉はいつも通りの機能を回復していた。
 プロポリスの語源はギリシヤ語で、「都市を守る」という意味だと知った。ミツバチはハーブや樹木の新芽を集め、自らの唾液を混ぜあわせてプロポリスを作る。もちろん、ミツバチは自分たちの巣を守るためにそれを作る。
 ミツバチが作ったプロポリスを、お裾分けしてもらって、僕ものどを守ってもらっている。
 ミツバチが作るプロポリスは自分達の巣だけではなく、一見、自分たちとは全く関係がない人間の身体も守ってくれる。そのことが僕に哲学的な問いを投げかける。ミツバチは一体何故そんなことをしてくれるのか?
 芥川龍之介の「蜘蛛の糸」では、地獄に落ちた盗人カンダタが地獄から救い出され、自らの独占欲から再び地獄に戻る様が描かれる。
 カンダタと違い、ミツバチは、「これは自分たちのプロポリスだから人間にあげられるものはない」と、自分たちが作ったプロポリスを、人間が取ることを拒否したりはしない。
 先ほどの問いの答えに戻るなら、ミツバチは、自分たちのみならず、他の生き物をも守ることにより、自然界に生きる物は全て、地球という母なる大地の中に平等に生きている。地球の中では全てのものは循環している。自と他の区別は有るけれど、互いに殺し合えば滅亡するだけ。互いに助け合って生きることが地球の摂理に叶うと教えてくれているようだ。
 「蜘蛛の糸」に倣って、僕は、無性にミツバチに恩返しをしたいとおもった。
 農業における農薬の使用により、ミツバチが減少しているという話を聞いたことがある。
 この話を聞くと人間は、ミツバチに恩返しをするどころか、地球を壊し、ミツバチを殺す方向に向かっている。その先には人類の滅亡もちらついている。
 僕に何が出来るだろうか?すぐに思いつくことで僕に出来ることは、プロポリスの具体的な効果を友人に紹介すること。ミツバチの生存と農薬が密接に関係していることを伝えることぐらいだ。
 「蜘蛛の糸」のカンダタの行動を笑うことは容易い。しかし、視点を変えると、人間はカンダタと同じようなことをしていないだろうか?

 

(完)

 

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