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蜂蜜エッセイ応募作品

朝の味方

松本 俊彦

 

 私の朝食は、ほぼ毎日パンである。食パン1枚である。しかも焼かない。時間がないのである。私は、会社勤めをしている。通勤に1時間ちょっとかかる。始業は9時である。しかし、私は六時二〇分には会社にいる。満員電車が嫌いなのである。他人と密着するのが嫌いなのではない。7人掛けに設計された電車の座席に、余裕をもって座る6人を見るのが嫌なのである。だから、五時十三分発の始発電車に乗ることにしている。これは、快適である。1車両に十人ぐらいしか乗っていない。必ず座れる。会社に着いてからも快適である。始業まで2時間半以上ある。誰からも話しかけられることなく、突然の呼び出しメールに悩まされることなく、自分のペースで仕事ができる。私の1日の仕事のほとんどは、始業前の2時間半に行うと言ってもいいぐらいだ。だから、いつも定時に帰れる。定時直前に急な仕事が発生しても、翌日の朝にやればいい。どうせ、その方が効率よく片付けられる。そういうわけで、私の朝は極めて時間がない。起きて、ふとんをたたんで、食事をして、歯を磨いて、ひげをそって、トイレに行って、着替える。これを三〇分足らずでやらなければならない。寝坊をしたら、当然もっと時間が短くなる。だから、食パン1枚。飲み物も牛乳1杯。もちろん牛乳は温めない。しかし、パンに何もつけないのは、何とも寂しい。胃に入れば何でもいいとも思うのだが、何もつけないパンはとにかく寂しい。されど焼いてないからバターも塗りにくい。そこで、ハチミツの出番となる。これなら焼いてないパンに塗ってもおかしくない。甘いのもいい。糖分が、エネルギー源として脳にまわっていくような気がする。しかも、ハチミツは毎日でも全然飽きない。こうしてハチミツは、殺伐とした私の朝に、わずかながら安らぎを与えてくれるのである。私にとっては、欠かすことのできない大事な大事な朝の味方なのである。

 

(完)

 

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