ミツバチと共に90年――

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挑戦!スズメ蜂の巣、姿取り!

先日、ケンちゃん社長がスズメ蜂の巣駆除の下見に行って、とてもきれいな形の巣を見つけた。
それは松の木の枝にできた巣で、周囲に障害となる物がないため、きれいな楕円形をなしていると言う。

ファイル 704-1.jpg

その日、野沢温泉にある大きなホテルにできた巣を駆除しながら、社長は何か考えている様子だった。
ホテルの巣は急斜面を登ったところの、非常に取りにくい場所にあり、社長と二連梯子を抱えたはちぶんは、1ヶ月分の体力を使って同行したのだ。

もう疲れたのだ~!帰りた~い!

依頼者はホテルの料理長で、駆除した蜂の子を使って宿泊客に蜂の子料理を振る舞おうというのだろう、疲れ切ったはちぶんを横目にとても嬉しそうである。
でも料理人が作る蜂の子料理、とっても気になる。。。

ともあれ、、、

次の駆除地に向かいながらケンちゃん社長が言った。
「次の場所で、スズメ蜂の巣の“姿取り”をしようと思う!」
先日下見に行って見て来たというきれいなそれだ。

“スズメ蜂の巣の姿取り”とは、たまにお店や旅館などで見かける丸い茶色い物体である。
酒屋などでは「杉玉」といって、杉の葉を束ねた球状の飾り物を見かけるが、それと同じようなものだ。

しかし家の玄関の軒下にスズメ蜂の巣など吊るしたら怖くて仕方がないではないかっ!
ところがスズメ蜂の巣には非常に深い意味があるのだと言う。

それをまとめてみると。。。

1.「蜂」は数字の「八」に通じ、末広がりである。
2.蜂の巣は出入りが非常に激しいので、千客万来・招福来訪を意味し、お店や宿屋、あるいは選挙事務所など、多くの人の出入りを望む場所に飾っておくと良い。
3.蜂は子をたくさん産み育てるので繁栄を意味し、家内安全・子孫繁栄を呼び込む。
4.蜂は働き者なので商売繁盛につながる。
5.蜂は集団生活をするので家内円満になる。
6.蜂は黄色いので「金」に通じて金運アップ!つまり商売繁盛。
7.スズメ蜂の巣は重なり合ってできているので蜂に関連する福が重なる。
8.蜂は攻撃してくるので魔除け・厄除け、転じて訪問販売などの迷惑な客を寄せ付けない。
また、岐阜県の飛騨地方などでは「スズメ蜂」のことを「ヤカンバチ」といい、「ヤカン」つまり「焼かん」に転じ、火事から家を守る意味があるそうです。

要するに蜂の巣というのは様々な良い意味を含む縁起物で、古くから家の玄関やお店の入り口に吊り下げられているのだそうだ。

なるほど~!スゴイっ!

加えて表面のマーブル模様の造形美。

ファイル 704-2.jpg

「これは高く売れそうだ。。。」と、はちぶんはニンマリ微笑んだ。

しかし、その巣を姿取りするのは非常に手間がかかり、ケンちゃん社長曰く、
「巣の表面にニスを塗り、乾いたらまたニスを塗り、それを何回か繰り返してしっかり固めてから取るのだ」

しかし駆除を依頼されているのに、巣を残したまま帰るわけにはいかない。
そんな事情でここ何年も姿取りはしていないのだと言う。
ところがこれから行く場所は、松の枝に出来ているので枝ごと切り取って持ち帰れば、ゆっくりニスを塗ることができるわけだ!

はちぶんはさっそくスマホで、スズメ蜂の巣の姿取りがいくらくらいで売れるのか調べてみたが、そんな物を売っているところはなく、ネットオークションに出せばいくらまで値が上がるかと夢を膨らませた。

思ったら吉日のケンちゃん社長は、途中ホームセンターに立ち寄りスプレー式の透明のニスを数本買い込んで、いざいざ現場に到着!

ファイル 704-3.jpg

なるほど見上げてみれば、5、6メートル上空の松の枝に、きれいなスズメ蜂の巣ができている。
大きさは2、30センチほどだろうか、「デカッ!」と言う程ではないが、なるほど巣を壊さずに取れそうだ。
さっそくトラックを巣の下に付け、荷台に鉄骨の足場を組み上げた。

スズメ蜂の巣というのは非常にもろく、ちょっと力を加えただけですぐに壊れてしまう。
それを壊さず取るには非常に高度な技術がいるらしい。
来る途中に寄った定食屋の店内に、大きなスズメ蜂の巣が3つ飾ってあったが、冬の期間に取ったものだろう、表面がボロボロになっていて残念に思っていたところだった。

ここでまたまたケンちゃん社長の豆知識、、、
スズメ蜂というのは絶えず巣の修繕をしており、冬が近づき、巣に働きバチがいなくなった瞬間から壊れていくのだそうだ。

だから、そのままの形を残しながら取るのがプロなのだ!
頼むぞ!ケンちゃん社長!

手際のいい社長は、足台に上ったかと思うと素早く巣門をティッシュでふさぎ、おもむろにニスのスプレーを吹きかけた。
その周りにはスズメ蜂が襲いかかっていた。

はちぶんは一時退却だ~!あとは任せたぞッ!

こうして取れたスズメ蜂の巣の姿取りがこれだッ!

ファイル 704-4.jpg

横の直径20数センチ、縦が30センチはあろうか。

ニスが乾くまでトラックの荷台に置いておくしかない。
両脇に箱を置き、間を渡して巣をぶら下げた。
これで工場に持ち帰り、あとは何日かかけてニスで固めていけば完成である。

箱がずれないように、また巣が箱に挟まれてつぶれないように、ガムテーブをガチガチに貼って移動開始である。

ところが工場まであと数百メートル、ゆっくり走ったつもりが激しく揺れるトラックの衝撃に耐えられず、巣が無残にポトリと落ちた。

!!!!

その日、社長はショックのあまり仕事が手につかなかった。
そしてはちぶんの夢も、あえなくついえたのだった。

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